イーサリアム、次期アップグレード「デンクン」とは?

イーサリアムブロックチェーンの開発者たちは、ステーキングしたイーサリアム(ETH)の引き出しを可能にしたアップグレード「シャペラ(Shapella)」を4月に成功させたばかり。だが、すでに次の大規模アップグレードの準備を進めている。「デンクン(Dencun)」だ。

「デンクン」という名称は、2つのメインレイヤーで同時に行われるアップグレードの名称を合わせたものだ。実行レイヤーではアップグレード「カンクン(Cancun)」が行われ、コンセンサスレイヤーではアップグレード「デネブ(Deneb)」が行われる。

前回のアップグレード「シャペラ」も同様に、2つのアップグレード「シャンハイ(Shanghai)」と「カペラ(Capella)」を合わせたものだった。

プロト・ダンクシャーディング

デンクンの中心となるのは「proto-danksharding(プロト・ダンクシャーディング)」として知られる「イーサリアム改善提案(EIP)4844」。EIP4844は、データを一時的に保存するためのスペースを増やすことでイーサリアムブロックチェーンをスケーリングすることが目的。レイヤー2ソリューションであるロールアップの手数料の削減も期待されている。

前回のアップグレード「シャペラ」を実行するにあたり、開発者たちはEIP4844はシャペラに含めるにはタスクとして大きすぎると判断し、次のアップグレードに先送りする決定を下していた。

詳細は数週間以内に

5月11日の公式オンライン会議で、開発者たちはEIP 4844の技術詳細を詳しく検討した。

イーサリアム財団(Ethereum Foundation)のプロトコルサポートリーダーであるティム・ベイコ(Tim Beiko)氏は会議の冒頭で「デフォルトで、このスコープはカンクンに含まれると考えている。今後、変更したい人はアジェンダに入れてほしい」と述べた(「デンクン」はまだ一般的ではなく、開発者も単に「カンクン」と呼ぶことがある)。

11日にはデンクンのアップグレード時期は議論されなかったが、過去には2023年下半期の実行が目標とされていた。デンクンには、EIP4844のほか、EIP6780、6475、1153なども含まれる予定だ。

デンクンはどのようなアップデートになるのか? 全体像は今後数週間で決定される見通し。開発者たちは、他にどのEIPをデンクンに含めるかを決めるための検証を進めている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林 理南
|画像:Shutterstock
|原文:Meet ‘Dencun.’ Ethereum Developers Are Already Planning Next Hard Fork