電力コストが低く、持続可能な構成のマイナーだけが生き残る:JPモルガン

電気代が安く、持続可能なエネルギーミックスの高いビットコイン(BTC)マイナーが、競争の激化する環境下で生き残る可能性が高い唯一の事業者だとJPモルガン(JPMorgan)は6月22日の調査報告書で述べた。

報告書によると、マイニングの主なコストは電力であり、ビットコインの生産コスト全体に影響を与えるという。

電力価格は、特にほとんどのビットコインマイニング企業が拠点を置くアメリカで下落しており、アメリカは最大のビットコインハッシュレート貢献国であると同行は指摘した。ハッシュレートとは、ビットコインのようなプルーフ・オブ・ワークのブロックチェーン上でマイニングとトランザクション処理に使用される合計計算能力のことだ。

ニコラス・パニギスツォグロウ(Nikolaos Panigirtzoglou)氏率いるJPモルガンのアナリストは「電力コストの低下は、ハッシュレートが上昇している現在の局面において、ビットコイン生産コストの上昇を抑えるのに役立つはずだ」と書いている。

電力コストは、マイナーが生き残るために奮闘した2022年の弱気市場で重要な役割を果たしたと同行は述べた。

世界のビットコインマイナーの平均電力価格は1キロワット時(kWh)あたり約0.05ドルだが、一部の大手マイニング企業は1kWhあたり0.03ドルという低コストを実現していると報告書は述べている。

電力コストの低下は、大手ビットコインマイナーがビットコインの生産コストを抑え、「ハッシュレートが急上昇し、過去最高を更新している現在の厳しい競争環境においても、収益性を維持するのに役立っている」と報告は付け加えている。

コア・サイエンティフィック(Core Scientific)、アルゴ・ブロックチェーン(Argo Blockchain)、アイリス・エナジー(Iris Energy)などの「脆弱な」マイナーは、「ビットコイン価格の下落、債務返済コストの上昇、電気料金の上昇の組み合わせ」によって生き残るのに苦労しているとアナリストは書いている。実際に、高い電気代を払っているマイナーは、過去1年間、ビットコイン価格の下落により損失に直面している。

JPモルガンは、時間の経過とともにビットコインのマイニング業界は統合され、結果的に競争力が高まるだろうとしている。

また、マイナーはより環境に優しくなるために、再生可能な電源で電力構成を多様化しようとしていると報告書は述べている。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Only Bitcoin Miners With Low Power Costs and High Sustainable Energy Mix Will Survive: JPMorgan