エルサルバドル国債が急騰──ビットコインのETF主導による上昇で

市場では、伝統的な機関の格付けは遅行指標であるという古い格言がある。ビットコインホルダーであるエルサルバドルの最近の経験もそれを示唆している。

信用格付け会社のフィッチ(Fitch)が2022年9月にエルサルバドルの格付けを引き下げ、2023年1月には債務不履行に陥ると予測したが、2023年を通じたビットコインの急上昇を反映し、同国のジャンク格付け債券は急騰している。

ビットコインとエルサルバドル国債の値動き(TradingView)

市場データによると、エルサルバドル国債の価値は62%上昇し、1ドル72セントで取引されている。同じ期間にビットコインは79%上昇した。

ファクトセット(FactSet)によると、エルサルバドル国債は、同国債の最大の保有者の1つであるインベスコ新興国市場ソブリン債ETF(Invesco Emerging Markets Sovereign Debt ETF)をも上回っている。

同国は1月、世界最大級の信用格付け会社、ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody’s Investors Service)が返済不能と予測した8億ドル(約1116億円)の債券を償還したと発表した

エルサルバドルは2021年半ばにビットコインを法定通貨にする発表し、2021年9月からこの暗号資産(仮想通貨)の積み立てを開始した。ブルームバーグ(Bloomberg)の試算によると、4月現在、同国は2546ビットコインを保有している。このデジタル資産は1億820万ドル(約151億円)で購入され、現在の市場データでは7660万ドル(約107億円)の価値がある。

これとは別に、ボルケーノ・エナジー(Volcano Energy)社は最近、エルサルバドルのメタパン地域に241メガワットのビットコインマイニング施設を建設するために10億ドル(約1400億円)を投じると発表した。投資家にはテザー(USDT)の発行元であるテザー(Tether)社も含まれている。

格付け会社は否定的

エルサルバドルがビットコインを採用することは、格付け機関や国際通貨基金(IMF)から一貫して怒りを買ってきた。

「政府のビットコイン導入に関連する政策の相違は、IMFが2023年1月に迎える8億ドルの国債償還に間に合うよう合意に達する可能性を低下させた」とムーディーズは昨年秋に書いている。

2021年、格付け機関のS&Pグローバル・レーティング(S&P Global Ratings)は、エルサルバドルがビットコインを法定通貨として採用する決定は「直ちに否定的な影響を及ぼす」とした。

「エルサルバドルのビットコイン採用のリスクは、その潜在的な利益を上回る」と当時、S&Pは述べている。「(信用に)直ちにネガティブな影響がある」。

IMFは2月、エルサルバドルのビットコイン導入に関するリスクは「これまでのところ、ビットコインの利用が限定的であるため、顕在化していない」と述べた

「しかし、法的リスク、財政の脆弱性、暗号資産市場の大部分が投機的であることを考えると、当局はビットコインへのエクスポージャーを拡大する計画を再考すべきである」とIMFが声明で述べたとロイターが報じている。

エルサルバドル国債の運命の変化は、市場全体のトレンドの一部であるように見える。トルコ、アルゼンチン、ナイジェリアといった国のジャンク債も、今年初めには投資適格債を上回った。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:TradingView
|原文:El Salvador’s Bonds Surge 62% Amid Bitcoin’s ETF-Driven Rally