単一のトレーダーがイーサリアム取引で80億円の損失

8月17日深夜、暗号資産(仮想通貨)市場が急落したため、暗号資産取引所バイナンスで、1人のトレーダーあるいは1つの事業体が、バイナンスUSD(BUSD)とイーサリアム(ETH)の取引で5500万ドル(約80億円、1ドル145円換算)の損失を出したことがデータから明らかになった。

3万8986.528ETHのポジションが、1434ドルの価格水準で清算された。これはバイナンスで清算された先物の30%近くを占めた。

単独のトレーダーが扱う額としては異例の額であることから、17日の急落で大企業、あるいは大口のイーサリアム保有者が大きな打撃を受けたと思われる。

(Coinglass)

イーサリアムは数分のうちに1780ドルから1560ドルまで下落し、取引高は全体で60億ドルから、200億ドル以上に急増。

その後、米証券規制当局がイーサリアム先物ETFの取引を承認する予定との報道が伝えられ、イーサリアムはすぐに損失の一部を回復。アジア時間18日夕方には1690ドル強に落ち着いた。当記事執筆時点、24時間で6%下落。

このようなイーサリアム価格の下落は、過去1年以上の先物清算の中で最大規模のもので、暗号資産取引所FTXの破綻が市場に与えた影響よりも大きい。

またデータによると、スペースXが保有しているビットコインを売却するという根拠のない噂が流れるなか、高レバレッジなロング、つまり価格上昇への賭けがロングスクイーズで解消されたようだ。スペースXは保有資産の簿価を引き下げただけだったが、市場の一部は売りに出たと解釈し、売り圧力につながった。

ビットコイン(BTC)は24時間で7%下落。ボラティリティが低かったここ数カ月で最大の下げ幅を記録した。一方、エックス・アール・ピー(XRP)、ドージコイン(DOGE)、ビットコインキャッシュ(BCH)は15%下落し、主要暗号資産の中で下落を牽引した。

|翻訳:吉見朋子
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:Single Trader Lost $55M on Ether Long Yesterday