- 米金融市場の「心臓部」ともいわれるDTCC(Depository Trust & Clearing Corporation:米国証券保管振替機関)は、機関投資家向けブロックチェーン・インフラ・プロバイダー「Securrency(セキュレンシー)」の買収に合意し、暗号資産への参入を強化している。
- TradFi(伝統的金融)とブロックチェーンが融合が進むなか、トークン化された現実資産(RWA)は暗号資産の主要な成長分野となっている。
アメリカの金融市場で証券の中央管理を担うDTCCは、暗号資産機能を強化するために機関投資家向けブロックチェーン・インフラ・プロバイダー「Securrency(セキュレンシー)」の買収に合意した。
19日のプレスリリースによると、SecurrencyはDTCCの完全子会社となり、新社名は「DTCC Digital Assets」となる。
今回の買収は、銀行や資産運用会社が現実資産(RWA:Real World Asset)のトークン化に取り組むなか、伝統的金融(TradFi)とブロックチェーン技術の融合が進展していることを浮き彫りにした。
DTCCはアメリカの株式市場の清算機関であり、昨年は2500兆ドル(37京5000兆円)相当の証券取引を処理した。 DTCCは既存システムに加えて、Securrencyの規制に準拠したブロックチェーンベースのテクノロジーを機関投資家に提供し、コンプライアンスに準拠した方法での暗号資産導入を可能にする。
トークン化(トークナイゼーション)とは、未公開株やクレジット、不動産のような伝統的資産(現実資産、あるいはRWAとも呼ばれる)をブロックチェーン上に配置することで、運用をより効率的に、取引をより安価にすることを意味する。デジタル資産管理会社21.coはレポートで、トークン化された資産の市場は2030年までに3兆5000 億ドル〜10兆ドルまで成長する可能性があると予測している。
「DTCCのインフラ能力とSecurrencyのテクノロジーを結びつけ、資本市場のデジタル化がイノベーションの最前線となる未来を推進することにエキサイトしている」とSecurrencyのCEO、ナディーン・チャカール(Nadine Chakar)氏は声明で述べた。同CEOは、Securrencyに入社する以前は、資産管理大手 State Street(ステート・ストリート)でデジタル部門の責任者を務めていた。
「こうした能力により、DTCCは業界と連携して、デジタル資産のマスアダプションに不可欠なレジリエンスとスケーラブルなインフラストラクチャを構築できる」「我々はともに、ブロックチェーン上で現実資産(RWA)を取引する際のコンプライアンス、流動性、効率性、相互運用性を再構想するチャンスを切り開いていく」
|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN
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|原文:Tokenization of RWAs Gets Boost With DTCC Deal to Buy Blockchain Startup Securrency