低迷するNFT市場──今、アーティストにできること

NFT市場の数年にわたる低迷を受け、かつて隆盛を誇った多くのアーティストが今、困難で不確かな状況に直面している。

NFT市場は、過去数年で飛躍的な成長を遂げたが、最近は低迷を続け、アーティストたちは、デジタルアートがまだ成功の可能性を秘めた手段なのかどうか、疑問を抱くようになっている。

しかし、このような不確かさのなかでも、アーティストが生き残るだけでなく、成功するチャンスはある。アートを流通させるための新しいテクノロジーが登場し続けるなか、アーティストにとっては、市場がどのような状況であっても、長期的に作品を宣伝・販売できる方法に焦点を当てることがきわめて重要だ。

アートマーケットプレイスArtsyの最近の調査によると、回答者の実に52%がアーティストを支援するためにアートを収集していると答え、38%は投資としてアートを購入していると答えた。この統計は、アーティストのコミュニティの持続的な強さを浮き彫りにし、個人コレクターとのつながりの重要性を強調している。

成功したアーティストとコレクターの関係からヒントを得ながら、なぜこのアプローチが不可欠なのかを掘り下げ、その利点を探ってみよう。

コレクターとの絆

コレクターとの個人的なつながりの構築は、特に投資対効果の点で強力な戦略だ。コレクターがアーティストとの個人的なつながりを感じるとき、彼らは単にアートを買っているのではなく、クリエイティブな旅・体験に投資している。このような感情的な結びつきは、長期的なサポートと熱心なコレクター基盤につながることが多い。

Gabe Weis、Klara、ThankyouX、Diana Sinclairといった成功したアーティストたちは、コレクターとの関係育成がキャリア維持にどれほどつながるかを実証してきた。これらのアーティストたちは、定期的にコレクターと関わりを持ち、単なるアートと金銭の交換を超えた帰属意識を生み出すことでコミュニティを育んできた。

現在、長期的な芸術的成功につながる基本的な手法がいくつかある。そのプロセスには、アーティストが自らのブランドの完全な所有権を維持することが含まれる。暗号資産(仮想通貨)の文脈では、これは独自のトークン発行サイト、スマートコントラクト、コレクター体験を持つことを意味する。

マーケットプレイス・アグリゲーターでのホスティングによるブランドの希薄化は、作品の購入体験を非個人的なものとし、アーティストに第三者の気まぐれに従うことを強いる。

「コミュニティ」という言葉は、Web3のエコシステムにおいて、やや多用され過ぎているが、アーティストにとっては、自分の作品を積極的にサポートし、関わってくれる人々のグループということになる。これらの人々は、アーティストの創作に熱狂し、ソーシャルメディアを通じてアーティストと交流する。

アーティストは、外在的な報酬を求める前に、自分たちのコミュニティに内発的な価値を提供することを常に第一に考えるべきだ。つまり、コレクターと定期的に連絡を取り合い、イベントを開催することで、誰が積極的に活動しているのかを把握し、場合によっては他のアーティストとコラボレートして、より大きなコレクターのネットワークを構築することが欠かせない。

そのようなコミュニティは非常に貴重であり、アーティストに安定した基盤を提供することで、市場のどのような予測不可能な変動からもアーティストを守ることができる。

宣伝やマーケティングにも革新を

現在のWeb3のエコシステムの現実は、伝統的なNFTのプロモーションやマーケティング手法が弱気相場ではもはや機能しないことを意味し、アーティストは作品のプロモーションやコレクターとの関わり方について、よりクリエイティブ、かつイノベーティブでなければならない。

これには、無料のギフト、有料のトークン発行、メンバーシップ、現実に存在するアイテムの組み込み、IRL(In Real Life:現実世界)体験など、さまざまなツールを使用して、代替的かつ定期的な収益源を生み出すことなどが含まれる。

アーティストは、どのような手法が自分の作品に最も効果的なのか、データに基づいて判断し、常に実験を続ける必要がある。

例えば、個人でブランディングしたウェブサイトについて、Googleアナリティクスとソーシャルメディアでの定性調査を組み合わせることで、コレクターの属性、サイト上での行動、関心についての確かなインサイトが得られ、マーケティングの活性化、コンテンツ制作、コミュニケーション戦略への戦略的アプローチについて、アーティストがより多くの情報に基づいた決定を下すための指針となる。

伝統的な手法も取り入れる

同時にアーティストたちは、伝統的な流通方法の時代を超えた力強さを見過ごしてはならない。画廊、展覧会、実際のアートショーといったこれらの方法は、時の試練に耐え、変化し続けるアートの環境の中で頼れるものであり続けている。

伝統的な方法を取り入れることで、アーティストはデジタル以外のフォーマットにも作品を適応させることができ、より多くの人々が作品にアクセスできる可能性が高まる。

このような伝統的な手段を確保する方法は多くの場合、アーティスト自身による自己宣伝へと回帰し、ギャラリーや展示会がアーティストと提携したいと思うところにまで至る。

NFTにまつわる否定的な評判に対処することも重要だ。NFT投資の中には投機的なものもあるが、アートはデジタルという形態を超えた本質的な価値を保持していることを認識することが不可欠だ。アートの価値は、クリエイターとそのユニークなビジョンを信じることにある。

コレクターは、自分が信じるアーティスト、個人的なレベルで自分とつながるアーティストに惹かれる。アーティストは、自分の作品や宣伝している特定のリリースの背景を説明したり、隣接するコミュニティを見つけたり、デジタルや現実世界でのイベントを企画したり、できるだけ顔を見せることで、そのユニークなビジョンを伝え、人々とのリアルなつながりを作ることを目指すべきだ。

アートの世界は常に進化しており、アーティストは伝統的な戦略とウェブ3の戦略を組み合わせることで、こうした変化に対応しなければならない。

|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸
|画像:mundissima / Shutterstock.com
|原文:The NFT Market Has Crashed. What Should Artists Do Now?