日銀の大規模緩和修正とGPIFのBTCなどの情報募集、同日なのは偶然か──ビットコインに与える影響は?
  • 日本の公的年金基金GPIFは、ポートフォリオ多様化の手段としてビットコインを検討する。
  • しかし、この計画は運用対象へのビットコインの組み込みを約束するものではない。

世界最大の公的年金基金である日本の「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」は、社会、経済、テクノロジーの変化に対応したポートフォリオの多様化を検討するため、ビットコイン(BTC)に関する情報を求めている。

運用資産が2023年12月末時点で約225兆円にのぼる、世界最大の年金基金GPIFは19日、ビットコインや金など、分散投資の対象となり得るものに関する「情報やアイデア」を募集すると発表した。

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GPIFは現在、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、不動産、インフラ、プライベートエクイティを運用対象としている。GPIFは、ビットコインなどに関する情報を求めているが、調査研究が完了した時点でビットコインを運用対象に加えるわけではない。

求めているのはあくまでも、学術的な知見・論文や測定方法、「海外年金基金の投資事例・投資哲学や、ポートフォリオへの組み込み方など」の基本的な情報だ。

日本以外では、ヒューストン消防士年金基金や韓国の国民年金サービスのように、すでにビットコインや関連資産に投資している年金基金が存在する。暗号資産支持派は、株式や債券などの伝統的資産との相関性が低いことを理由に、ビットコインを年金基金にとって理想的な投資対象としてアピールしている。だが、暗号資産にはテック株と連動して動く傾向がある。

日銀が大規模緩和を修正

今回の発表は、日本銀行が大規模緩和政策の修正を発表したその日に行われた。同タイミングになったことは、意図的なのか偶然なのかはわからない。

日銀の政策修正がビットコインに与える影響は、ほぼないと見られているが、為替に与える影響などから日本人投資家の投資環境に何らかの影響は生まれそうだ。

一方、もしもGPIFがいつの日か、ビットコインを投資対象に組み込むことになれば、アメリカでのビットコインETF承認に似たインパクトを生み出すことになりそうだ。ただし、現時点でそうなるかどうかは、まったくわからない。

|翻訳・編集:CoinDesk JAPAN編集部
|画像:年金積立金管理運用独立行政法人のWebサイト(キャプチャ)
|原文:World’s Largest Pension Fund Seeks Information on Bitcoin Under Portfolio Diversification Plan