不審な取引にフラグ付け、ビットレックスがチェイナリシスKYTを導入

米仮想通貨取引所「ビットレックス(Bittrex)」は、主要コインの多くにおける不審な行為にフラグを付けるために、ブロックチェーン・コンプライアンス企業「チェイナリシス(Chainalysis)」のリアルタイム監視ソフトウェアを採用した。ビットレックス幹部がCoinDeskに語った。

ビットレックスで取引される仮想通貨の中でも、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ビットコインキャッシュ(BCH)、ライトコイン(LTC)、ダイ(DAI)、ジェミニドル(GUSD)が、チェイナリシスKYTと呼ばれるこの新しいソフトウェアにカバーされている。

ビットレックスによるチェイナリシスKYTの導入は、世界中の政府や規制当局が仮想通貨取引所に対する監視を強化している中での動き。6月、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)は、加盟国37カ国の取引所に対して、すべてのトランザクションにおける顧客の完全な詳細情報の追跡を12カ月以内に開始することとした。

ビットレックスはすでに、同様のアメリカの規制を遵守しているが、チーフコンプライアンス&倫理責任者のジョン・ロス(John Roth)氏は、チェイナリシスKYTはさらに踏み込んだものと述べた。

KYTには「ダークネットのサイト、児童搾取のサイト」といった不審なアドレスの知識ベースが内蔵されており、ビットレックスは一歩先を行っているとロス氏は述べた。

「リスク判断の材料となるリアルタイム情報を取り入れられることは、素晴らしい前進であり、率直に言って、伝統的な金融機関には不可能なこと」とロス氏。

チェイナリシスのチーフセキュリティオフィサーのジョナサン・レヴィン(Jonathan Levin)氏は、KYTはビットレックスのレビュープロセスの大半を自動化すると述べた。

「ビットレックスのような大規模な取引所をサポートするために重要なことは、コンプライアンス・プロセスを自動化し、ワークフローに優先順位をつけ、デューデリジェンスをスピードアップするためにアラートをカスタマイズできる機能を構築すること」とレヴィン氏は述べた。

自動化は、取引量の大きな取引所が、コンプライアンスの「サステイナビリティ」、つまり何百万ものありふれた取引の中から、数少ない不審なトランザクションを特定する能力を維持することをサポートする。

KYTは、違法な可能性の高いトランザクションにフラグを付ける。だが、まだビットレックスのコンプライアンス・アナリストは脅威が本物か否かを見極め、不審な動きを規制当局に報告する必要がある。

ビットレックスの倫理責任者ロス氏は、新しいソフトウェアは金融機関が取引所ベースの取引を検討するなか、仮想通貨業界の発展と成熟に対応するものと語った。

「金融機関は、我々が正しく物事を進めていると確信する必要がある」

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Code image via Shutterstock
原文:Bittrex Adopts Chainalysis KYT Software to Flag Suspicious Activity