サムスン支援企業、ドバイのブロックチェーン戦略に乗って中東で事業開始

サムスンの支援を受けて、企業向けブロックチェーンを提供する韓国企業ブロッコ(Blocko)の発表によると、同社はアジア太平洋とヨーロッパ地域で資金を調達し、アラブ首長国連邦で事業を開始した。

ドバイ政府は2018年4月、エミレーツ・ブロックチェーン戦略2021を発表した。これは、アラブ首長国連邦政府がビザ申請や請求書の支払いなど同国での手続きの50%をブロックチェーンプラットフォームへと移動するというものだ。

ブロッコの公式ローンチに際して、シード・グループ(SEED Group)とブロッコ社は、事業および技術面でのパートナーシップを結んだ。同グループは、王室の一員であるアフマド・ビン・サイード・ アール・マクトゥーム( Sheikh Saeed bin Ahmed Al Maktoum)氏のプライベートオフィスのコングロマリットである。

「これによって、政府、国民、企業のためにアラブ首長国連邦が自らのデジタルに関する目標を実現させることを可能にします」と、シード・グループとアフマド・ビン・サイード・ アール・マクトゥーム氏のプライベートオフィスのCEO、ヒシャーム・アル・グルグ(Hisham Al Gurg)氏は述べた。

エミレーツ・ブロックチェーン戦略は、3億9,800万枚の印刷書類と7,700万時間の労働時間を削ることで、手続きと書類の経費について年間30億ドル(約3,200億円)の削減が見込まれている。

ドバイはこの構想を推進するため、規制改革や、都市全体を巻き込んだブロックチェーンプロジェクト向けのIBMとのパートナーシップなど、複数の取り組みを行ってきた。

アラブ首長国連邦に進出する前にブロッコは、2018年6月の8,900万ドル(約9億5,000万円)と2019年8月の7,400万ドル(約7億9,000万円)を含む、2つのシリーズBラウンドで、1,650万ドル(約17億7,000万円)の資金を調達した。

ブロッコによると、韓国で最も老舗の新韓銀行、KEBハナ銀行、プライベート・エクイティのLBインベストメント(LB Investment)とダダム・インベストメント(Dadam Investment)が、8月の資金調達に参加した。

同社は、アラブ首長国連邦の政府と企業のためにハイブリッドなパブリック・プライベートのブロックチェーンテクノロジーを導入するため、運営プラットフォームのアエルゴ(Aergo)と提携する。

「弊社は現在、アエルゴのプラットフォームを中東にもたらすための取り組みに重点を置いており、続けてアジアとヨーロッパで成功させたいと考えています」と、ブロッコは述べた。

「中東の多くのブロックチェーンテクノロジーはいまだに概念実証の段階です」と、ブロッコのCEOでアエルゴの共同創業者のフィル・ザマニ(Phil Zamani)氏は語った。

「ハイブリッドブロックチェーンとして、アエルゴは障壁を乗り越え、より高レベルな効率性、セキュリティ、規模と価値をもたらす新しい機能への門戸を開きます」と、ザマニ氏は語った。

ブロッコは現在、20以上の顧客企業を擁しており、中東で政府機関や大手企業を支援することで、2,500万人のデイリーユーザーを目標としている。

ブロッコは、サムスン、シスコ(Cisco)、現代自動車、京畿道地区の全面的な企業向けブロックチェーンプロバイダーとなった後に、韓国で有名になった。同社は韓国内で、38の企業向けブロックチェーンソリューションを提供してきた。

香港に拠点を置くプラットフォームであるアエルゴは、投資家のセコイア・キャピタル・チャイナ(Sequoia Capital China)とGBICが主導する企業連合から3,000万ドル(約32億1,000万円)の資金を確保した。

翻訳:山口晶子
編集:T.Minamoto
写真:Dubai map image via Shutterstock
原文:Samsung-Backed Blocko Launches in UAE After Dubai Blockchain Push