バイナンス大口顧客の過半数の投資銘柄は10以下、中銀デジタル通貨は「リスク要因ではない」【調査】

大手仮想通貨取引所のバイナンスが11月22日に公表した機関投資家への調査レポートで、過半数が保有・取引するのは10銘柄以下で、取引所で保管する顧客は9割を超えることが分かった。中央銀行デジタル通貨(CBDC)はリスク要因として見られていないという。

調査はバイナンスリサーチとバイナンストレーディングが2019年10月に、英語と中国語で行った。対象は、バイナンスのサービスを使っており、10万ドル~2500万ドル以上を仮想通貨に投資する大口顧客や機関投資家。回答数は76と少ないので、過度の一般化を避けることを勧めている。

10銘柄以下の保有が54%

調査は6月に公開された第1回につづくもの。これによると、機関投資家が用いる投資戦略は上位から高頻度プロップ取引(35.5%)、テクニカル分析(25.0%)、マーケットメイキング(19.7%)。仮想通貨の保有銘柄数では、過半数の54%が10以下と答えている。

バイナンス
投資・取引戦略(バイナンス)

取引所での保管が9割越え

また保有する仮想通貨のカストディ(保管)では、9割以上が仮想通貨取引所にも保管しているという。次いでインターネットとは切り離されたコールドウォレットに保管すると答えた投資家が32%強いた。

バイナンスレポート
カストディと保管割合

最大の促進要因は、規制の変化

仮想通貨業界をより活性化させるための要因について聞いた質問では、グローバルおよび各国(地域)での規制の変化と答えた機関が44.3%と4割を超えた。次いでフィデリティなど伝統的な証券会社が暗号資産サービスを提供することという答えが34.4%だった。

成長促進要因の上位6つ

一方で最大のリスクとしては、取引所のハッキングなど特有の破綻やステーブルコイン「テザー(USDT)」の法的問題、国際規制の不確実性などが上がった。

調査は、フェイスブックのリブラや中央銀行デジタル通貨(CBDC)は、機関投資家らは業界にリスクをもたらすと考えていないと指摘。規制動向は、リスク要因にも促進要因にもなると考えられているとした。

文:小西雄志
編集:濱田 優
写真:Shutterstock