金融行政方針:Web3進めるために日本が対処すべき暗号資産の課題

金融庁が2022年度の金融行政方針をまとめた。世界中でWeb3.0やメタバースの開発が急ピッチで進む中、日本がこの潮流から取り残されないために対処すべき暗号資産(仮想通貨)とステーブルコイン、NFTなどに関連する課題を明らかにした。

金融庁は8月31日、30ページで構成される金融行政方針を公開。それに付随する作業計画も発表した。その方針の中で、Web3の推進に向けたデジタルマネーや暗号資産に関係する取り組みを明記した。

暗号資産における取り組みのキーポイント:

・ステーブルコインに関する制度を着実に施行、運用する。
・暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産の自主規制団体による事前審査の合理化を進める。
・ブロックチェーン上で発行されるアイテムやコンテンツ(NFT)の暗号資産該当性に関する解釈の明確化を進める。
・ガバナンストークンを含む暗号資産のうち、発行体の保有分に対する課税の課題については、税制改正要望を含む対応を行う。
・信託銀行による暗号資産のカストディ業務(保管・管理)を可能にする制度を整備する。
・証券トークン(セキュリティトークン)のPTS(私設取引システム)での取引環境を整備する。
・DeFi(分散型金融)について継続的に検討を行う。

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中央銀行デジタル通貨(CBDC)については、以下のようにまとめられた。

・日本銀行は今年3月に基本機能に関する概念実証を完了。
・4月から周辺機能に関する概念実証(POC)のフェーズに移行。
・これらの進捗を踏まえ、金融庁は財務省と連携し、民間の金融機関に与える影響などの観点から、この検討に貢献していく。

Web3.0:Web3とも呼ばれ、ブロックチェーンなどのピアツーピア技術に基づく次世代のインターネット構想で、Web2.0におけるプラットフォーマーによるデータの独占や、改ざんの問題を解決する可能性があるとして注目されている。
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|編集:佐藤茂
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