ドージコイン10%上昇、ビットコインはリスクオンムードの高まりを受け10万4000ドル水準へ
  • 暗号資産(仮想通貨)市場の反発を受け、ビットコインは2カ月以上ぶりに10万4000ドルに迫った。
  • イーサリアムのPectraアップグレードと米国における政治的な後ろ盾が、アルトコインの上昇を牽引している。
  • トランプ米大統領の米中貿易交渉に対する前向きな見通しが、市場心理を押し上げている。

マクロ経済情勢の改善とイーサリアム(ETH)による直近のネットワークアップグレードを受け、暗号資産市場が急反発する中、ビットコイン(BTC)は2カ月以上ぶりに10万ドルの大台を突破し、アジア時間5月10日早朝には10万4000ドル(約1508万円、1ドル=145円換算)に迫った。

ドージコイン(DOGE)は10%上昇し、主要通貨の中で値上がりを牽引した。一方、イーサリアムは待望のPectraアップグレードの成功を受け3.5%上昇し、週間上昇率は30%を超えた。

ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)、XRPエックス・アール・ピー(XRP)などの主要通貨は、投資家心理が慎重姿勢からリスクオンへとシフトしたことを背景に、2~6%上昇した。

この動きは、米国で起きた一連の暗号資産支持の動きを受けてのものだ。現地時間5月7日には、ニューハンプシャー州が戦略的なビットコイン準備金の創設を認める法案を可決した。アリゾナ州も翌日に続き、暗号資産準備金の創設を支持する独自の法案を可決した。こうした州レベルでの動向は、11月の選挙を前に一部の州で政治指導者がデジタル資産政策への傾倒を深めていることを反映している。

トランプ大統領の発言

ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が、今後の米中貿易協議について強気な発言をしたことも、市場の不安を和らげる一因となった。これらの発言は、米国と英国が新たな貿易協定に署名した時期と重なり、相互関税の撤廃と米国製品への関税引き下げが盛り込まれ、株式市場と暗号資産市場の双方でセンチメントがさらに上昇した。

BTSEのCOO、ジェフ・メイ(Jeff Mei)氏はCoinDeskへのメッセージで、「トランプ大統領が週末に中国との貿易協議について楽観的な見通しを示したことで、貿易戦争の激化への懸念が和らぎ、トレーダーは暗号資産などの資産クラスへの資金流入を促している」と述べた。「これはビットコインを史上最高値に押し戻し、場合によってはそれを上回る可能性もある」。

ビットコインは、欧州時間帯の5月10日午前の時点では、1月の最高値である10万8700ドル(約1576万円)超から約5%落とした水準で取引された。

アナリストは、3月と4月で支配的だった低迷した価格推移からアルトコインが決定的に脱却したことが直近の動きで示されているとコメントした。

「トレーダーは、暗号資産業界が市場の不確実性に対するヘッジとして、ついに息を吹き返したと考えている」と、LVRGリサーチのディレクター、ニック・ラック(Nick Ruck)氏はCoinDeskに対してテレグラム(Telegram)のチャットで述べた。

また「アルトコインが下落トレンドから脱却し、新たなリスクオンのセンチメントから買い圧力が高まったことで、投資家は暗号資産に対する見方を変えつつある」とラック氏は付け加えた。

イーサリアムが1週間で30%上昇した要因としては、機関投資家の関心の高まりおよび、効率性とスケーラビリティの向上を目的とした待望の改革を導くPectraアップグレードの勢いが挙げられる。

「このアップグレードは、競争が激化する中で、イーサリアムが主要チェーンとしての地位を確固たるものにするために切実に必要とする改革をもたらす」とBTSEのメイ氏は述べた。「イーサリアムが史上最高値を大きく下回る水準で取引されていることを考えると、特にマクロ経済の懸念が和らぎ、機関投資家が暗号資産や暗号資産ETF(上場投資信託)への投資に積極的になるにつれて、今後数週間から数ヶ月で大幅な上昇が見込まれる。」

そのうえで、トレーダーたちは米中貿易交渉について注視している。スイスでの交渉によって膠着状態や緊張再燃の兆候があれば、現在の上昇相場が下押しされる可能性がある。

|翻訳・編集:T.Minamoto
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|原文:Dogecoin Surges 10%, Bitcoin Nears $104K Amid Renewed ‘Risk-on’ Sentiment