ビットコイン、10万5000ドルを視野に、コインベース株は24%急騰──ラリーにはさらなる伸び代とアナリスト
  • ビットコインは10万5000ドル台まであと数ドルに迫った。イーサリアムは2700ドルまで9%上昇し、暗号資産(仮想通貨)の上昇を牽引した。
  • LMAXグループ(LMAX Group)の市場ストラテジスト、ジョエル・クルーガー(Joel Kruger)氏は、コインベース(Coinbase)株がS&P500に採用されたことに見られるような、機関投資家の関心の高まりと主流への普及から暗号資産が恩恵を受けていると述べた。
  • ウィンセント(Wincent)のポール・ハワード(Paul Howard)氏は、機関投資家はアルトコインに選別的になるだろう、と述べた。
  • ビットコインは10万6000ドルのレジスタンスに直面しているため、次の上昇の前に保ち合いとなる可能性が高いと、ビットフィネックス(Bitfinex)のアナリストは述べた。

ビットコイン(BTC)は5月13日、10万4000ドルを再び上回った。歓迎すべき新しいインフレデータ、トランプ米大統領の金融市場に対する強気な見通し、コインベースのS&P500への組み入れなどが上昇のきっかけとなった。

4月の米消費者物価指数(CPI)は予想を下回り、関税によるインフレを懸念する米連邦準備制度理事会(FRB)への圧力を和らげる可能性がある。15日に予定されているパウエルFRB議長の講演では、さらなる政策指針が示されるかもしれない。

トランプ氏がサウジアラビアの首都リヤドで開催されたサウジ・米国投資フォーラムの出席者に対し、市場は「もっと上がる可能性がある」と語ったことで、明るいムードはさらに高まった。

ビットコインは10万5000ドルに届きそうになったが、その後値を戻し、当記事執筆時点では過去24時間で2.4%高い10万4400ドル前後で取引されている。CoinDesk 20 Indexのほとんどのアルトコインはアウトパフォームした。

イーサリアム(ETH)は復活を続け、2700ドルまで9%以上上昇した。リステーキングプロトコル、アイゲンレイヤー(Eigenlayer)のガバナンストークンと分散型金融(DeFi)プロトコルEtherFiのネイティブトークン(ETHFI)は、1日に20~30%以上の上昇を記録した。

CoinDesk 20 Index(CoinDesk Indices)

株価も最近の上昇をさらに続け、ナスダックとS&P500は終値でそれぞれ1.6%、0.75%上昇した。ナスダック上場の暗号資産取引所コインベース株は、S&P500に採用されることになり、日中24%急騰した。証券会社バーンスタイン(Bernstein)は、S&P500への組み入れにより、コインベース株に160億ドル(約2兆3500億円、1ドル=147円換算)の買い圧力がかかると予想した。

LMAXグループの市場ストラテジスト、ジョエル・クルーガー氏は、暗号資産市場は先週の上昇を消化するために小幅な値動きとなっているが、この上昇にはさらなる勢いがあるとして、次のように述べた。

「現在、市場は一息ついているように見えるが、最近のヘッドラインにおける一般的なセンチメントは、このラリーがまだ成長する余地があることを示唆している」。

クルーガー氏は、世界的なリスク選好の回復と、機関投資家の追い風が強まっていることを指摘した。

「注目すべき要因のひとつは、米国金融市場の動向に見られるように、暗号資産の主流への採用が進んでいることだ。コインベースがS&P500に採用されたことは歴史的な出来事であり、この権威ある指数に採用された最初の暗号資産関連企業である」と、クルーガー氏は述べた。

クルーガー氏はまた、規制をめぐるセンチメントの改善も挙げた。米証券取引委員会(SEC)のポール・アトキンス(Paul Atkins)委員長は、米国を暗号資産イノベーションのハブにすることを公約しており、クルーガー氏は、有意義な政策による明確化がこれに続けば、機関投資家の新たな関心の波を解き放つことができると考えている。

取引会社ウィンセントのシニア・ディレクター、ポール・ハワード氏は、アルトコインは全体的な上昇に追随しているが、機関投資家はより選別的になる可能性が高いと述べた。

「この進化する情勢は、機関投資家の参加を増やすための土台を築きつつあるようだ」と、ハワード氏は述べ、次のように続けた。

「より回復力のあるアルトコインのプロジェクトは恩恵を受ける可能性があるが、弱いプロジェクトは段階的に縮小していく可能性がある」。

ビットコイン、来月にも最高値更新?

ビットコインの現在価格と1月の記録的な価格との差は5%未満であるが、ビットフィネックスのアナリストは、中立的な資金調達レートと安定した取引高は、市場の泡(フロス)の兆候を示していないと指摘した。

しかし、ビットコインは10万4000ドルから10万6000ドル付近のレジスタンスに直面しており、9万8000ドル付近が重要なサポートレベルとなった短期的な保ち合いの可能性が高いと、ビットフィネックスのアナリストは付け加え、次のように続けた。

「ビットコインはここ数週間で急激に上昇しており、保ち合いの時期が予想される。つまり、10万ドルを超えて需給が安定するにつれて、史上最高値の更新は6月にずれ込む可能性がある」。

ビットフィネックスのアナリストは、今後の見通しについて、中長期的には決定的に強気であることに変わりはないとし、2025~2026年の価格目標を15万~18万ドルに設定した。

「ビットコインの長期的な見通しはこれまでで最も強い。ソブリンと機関投資家の採用が進み、ETF(上場投資信託)のレールが世界的に拡大し、米国が暗号資産政策をより積極的に枠組みしていることから、ビットコインは世界的なマクロの準備資産へと進化している」と、ビットフィネックスのアナリストは述べた。

|翻訳・編集:山口晶子
|画像:5月13日のビットコインの値動き(CoinDesk)
|原文:Bitcoin Eyes $105K as Coinbase Surges 24%; Rally Has More Room, Says Analyst