- ビットコインは、市場全体の売り圧力を受け、10万ドルの水準を下回り、9万6600ドルまで下落した。
- イーサリアム、XRP、ソラナといった主要暗号資産も大幅な下落に見舞われた。
- ETFへの流入が鈍化し、長期保有者による売却が増加したため、市場環境は悪化している。
ビットコイン（BTC）は11月14日に大きく下落して心理的水準である10万ドルを割り込み、その後に9万6000ドル付近まで急落した。
これは5月以来の安値で、ハイテク株の急落と機関投資家の投資判断の鈍化をきっかけに、世界市場全体でリスク回避の売りが再び優勢になったことを反映している。
主要暗号資産（仮想通貨）もビットコインに連動して下落を拡大した。イーサリアム（ETH）は3200ドル以下まで下落し、週間では約10％安となった。
エックス・アール・ピー（XRP）は週約8％安の2.25ドル付近で取引され、バイナンスコイン（BNB）は932ドルまで下落し、週約7％安となった。
ソラナ（SOL）は最も打撃が大きく、週16.5%下落で140ドルとなった。ドージコイン（DOGE）は0.161ドル、カルダノ（ADA）は0.491ドルまで下落したが、トロン（TRX）は0.292ドルで比較的安定していた。
市場全体の構造が急速に悪化している。ETF（上場投資信託）への資金流入は2週連続で減速し、長期保有者の売却は加速し、個人投資家の資金流入は低迷したままだ。
調査会社10xリサーチ（10x Research）は、これらの要因が重なったことで、ファンド・企業・ETFによる構造的な支えが失われ、市場が弱気相場に入ったことを裏付けていると指摘した。
テクニカルも崩壊
テクニカル的に見ると、ビットコインが月間の中間レンジである10万266ドルを下回ったことで、主要な流動性棚が解消され、流動性が薄い領域への急落が始まった。短期的な支持線は9万3000ドルから9万5000ドル付近にある。
この支持線を割れば、8万9600ドル付近の流動性ギャップ付近を試す展開の可能性があるとデリバティブ企業BitunixはCoinDeskへのメールで述べた。上昇した場合には10万200ドル、次いで10万7300ドルで抵抗に直面する。ここ数週間は、この水準で繰り返し跳ね返されている。市場の流動性は低下傾向を続けており、明確な安定化は見られない。
9万3000ドル付近で底値圏が形成される可能性はあるが、下抜けすれば構造的な安値圏への加速リスクが高まると同社は付け加えた。
LVRGリサーチ（LVRG Research）のディレクター、ニック・ラック（Nick Luck）氏は、ビットコインが9万2000ドル付近で安定化を図る試みは、来週の連邦公開市場委員会（FOMC）議事録にハト派的な傾向が示されるかどうかに大きく依存すると指摘した。ETFからの資金流出とデスクロスの兆候が下落基調を強めており、政府期間再開後の経済指標発表に関する不確実性がさらなるノイズを加える可能性がある。
低調な取引が続く見通し
暗号資産取引所BTSEのCOO、ジェフ・メイ（Jeff Mei）氏は、市場は特に政策当局者が新たなデータを待つ中で、アメリカ連邦準備制度理事会（FRB）が12月に利下げを一時停止する可能性に備えているように見えると述べた。それまでは、主要なマクロ経済要因が現れない限り、取引は低調な状態が続くだろう。
ビットコインは今年前半に記録した30％の上昇分を完全に失った。この下落は10月6日の最高値12万6251ドル（トランプ政権の暗号資産支持姿勢への楽観論が頂点に達した際の記録）から続く1カ月にわたる調整局面を継続している。
大統領の予想外の関税発言が世界市場を揺るがし、リスク資産全般にわたる大規模なデレバレッジを引き起こしたことで、この熱狂は急速に冷え込んだ。
ビットコインは日曜日に一時9万3700ドルを下回ったが、記事執筆時点では9万5700ドル前後まで回復した。
｜翻訳：CoinDesk JAPAN
｜編集：井上俊彦
｜画像：Shutterstock
｜原文：What Next for Crypto Bulls as ETH, XRP, SOL, ADA Drop 8–16% in a Week
