- ビットコインは9万500ドル以下へと下落した。FRBの利下げにもかかわらず、暗号資産市場は値を下げた。
- 5億1400万ドル超のレバレッジポジションが清算され、イーサリアムやソラナなどの主要トークンも下落した。
- アナリストは、マクロ経済状況と市場流動性への懸念の中、ビットコインが大幅な反発を示すには9万4000ドルを突破する必要があると指摘している。
ビットコイン(BTC)は12月11日に9万500ドル以下へと下落した。暗号資産(仮想通貨)市場は9日の反発分の大半を解消し、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)が予想通りの利下げと国債購入再開を発表したにもかかわらず、広範なリスク選好が弱まった。
主要トークンは週の下落幅を拡大し、デリバティブ市場全体でボラティリティが高まる中、過去24時間で5億1400万ドル(約796億7000万円、1ドル=155円換算)超のレバレッジポジションが消滅した。
BTCは9万250ドル前後で取引され、24時間で2.4%下落した。イーサリアム(ETH)は3.4%安の3208ドル、ソラナ(SOL)は5.8%安、ドージコイン(DOGE)は5.5%安となった。CoinGeckoのデータによれば、エックス・アール・ピー(XRP)は8.6%、カルダノ(ADA)は7.2%、バイナンスコイン(BNB)は5.9%下落するなど、ほぼすべての大型トークンで7日間リターンがマイナスとなっている。
この下落は、9日に9万4500ドルを一時的に突破した動きに続くものだ。この動きは小規模なショートスクイーズを引き起こしたが、過去3週間の大半でビットコインの上値を抑えてきた抵抗線を突破するには至らなかった。この反落でBTCは1カ月続くレンジの中間水準に戻った。この水準では市場の厚みが薄く、清算クラスターが価格変動に影響を与え続けている。
「厳密に言えば、11月21日以降、一連の局所的な高値・安値が上昇している」とFxProのチーフ市場アナリスト、アレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)氏はCoinDeskへのメールで述べた。
「しかし、この反発を時価総額成長の始まりと断定するには、3兆3200億ドル(約514兆6000万円、現在の水準から約6%増)を超える必要がある」。世界の暗号資産時価総額は3兆1600億ドル(約489兆8000億円)近辺で、週初めから2.5%上昇したものの、9日の一時的な高値の3兆2100億ドル(約497兆5500億円)を下回っている。
11日の下落にはレバレッジが大きな要因となった。CoinGlassのデータによれば、BTCが短期トレンドラインを下回ったことで、24時間で3億7600万ドル(約582億8000万円)のロングポジションが清算された。これはショートの清算額である1億3800万ドル(約213億9000万円)のほぼ3倍に相当する。
マクロ環境も支援材料にはならなかった。FRBが10日に追加利下げを実施したものの、政策当局者は今後2年間の利下げ回数が減少すると予測しており、委員会内の意見の深刻な分断も明らかになった。
一方、QCPキャピタル(QCP Capital)は今週初め、流動性の低下と持続的なポジションの不均衡を理由に、年末にかけてビットコインの取引レンジが8万4000ドルから10万ドルに拡大すると顧客に伝えた。
ブルームバーグ・インテリジェンス(Bloomberg Intelligence)のストラテジスト、マイク・マクグローン(Mike McGlone)氏も「サンタクロース・ラリー」が実現しない可能性を警告し、BTCが年末に8万4000ドルを下回ると予測した。
現時点では、トレーダーらはBTCが9万ドルから9万1000ドル付近の足場を維持できるかを注視している。このサポートゾーンは過去1カ月、繰り返し試されている。
決定的な下抜けは現行レンジの下限を露呈させる一方、安定化はFRBの発表後の市場調整期に9万4000ドルの抵抗線への再挑戦の舞台を整える可能性がある。
|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk Archives
|原文:Ether, Dogecoin, Solana Slide as Bitcoin Fails to Sustain Early-Week Breakout


