仮想通貨の高騰に乗じて、投機筋がDeFiに投資する理由

DeFi(分散型金融)アプリケーションは1月14日、活況を呈した。だが、その背景にあるのはイーサリアムの価格高騰だけではない。


仮想通貨全体の価格が上昇

当記事執筆時点、イーサリアム(ETH)は1月13日(現地時間)から約20ドル(約2200円)上昇した。

「仮想通貨はまだかなりの相関関係があり、ビットコインSV(BSV)とその創設者クレイグ・ライト(Craig Wright)氏をめぐる一部の展開によって、市場全体が上昇した」とパンテラ・キャピタル(Pantera Capital)のポール・ベラディッタキット(Paul Veradittakit)氏はCoinDeskにメールで語った。

コインマーケットキャップ(CoinMarketCap)によると、BSVは時価総額で4番目に大きい仮想通貨。CoinDeskのBSVプライス・インデックス(BSV Price Index)を見ると、価格はこの24時間で117%高騰した。

そして、DeFiアプリケーションは主にイーサリアムを「担保」にしているため、イーサリアムの価格が上昇するとDeFiアプリ全体の市場価値も増加する。だがそれは全体像の一部に過ぎない。

DeFiに関するデータの分析を行うDeFiパルス(DeFi Pulse)によると、DeFiアプリケーションは1月13日時点で、約7億600万ドル(約780億円)相当のイーサリアムを保有している。当記事執筆時点でその数字は7億8200万ドル(約860億円)まで上昇した。

投機筋は流動性のためにDeFiを利用か

もう1つの背景としては、市場の高騰に乗じて利益を得ようとする投機筋の存在がある。

トップ10の仮想通貨がこれほどまでに高騰したのはかなり久しぶりとコンパウンド・ファイナンス(Compound Finance)のロバート・レシュナー(Robert Leshner)氏はCoinDeskに語った。トレーダーは取引を行うための流動性を求めているため、資金がDeFiに流れている可能性が高いとレシュナー氏は指摘した。

「価格が100%動いている日に、年間利率はトレーダーには関係ない」

DeFiバルスによると、イーサリアム保有者に融資を行うコンパウンド(Compound)は1月14日、利用が急増し、担保は約10%増加した。同様にUniseap Infoによると、分散型取引所ユニスワップ(Uniswap)の取引高も前日から約100%増加した。

メーカーダオ(MakerDAO)も5000万ドル(約55億円)近い大きな増加を見せている。おそらく取引に利用できるDAIを手に入れるためにトレーダーがイーサリアムを担保にしているためだ。

DeFi本格化への第一歩に

「イーサリアムは、主に他の目的のための担保として利用される」ため、価格が上がれば、保有者にとってはより可能性が広がるとレシュナー氏は指摘した。

しかし、そのプロセスの第1段階は、例えば価値が上がっている資産を使って借り入れを行い、流動性を提供してもらうためにDeFiアプリケーションに頼ることだ。

イノベーティブなブロックチェーン技術に特化したベンチャー企業プレイスホルダー(Placeholder)のジョエル・モネグロ(Joel Monegro)氏は、今は新しいテクノロジーの初期段階とCoinDeskに語った。今はユーザーがその能力をテストしている。

「DeFiプロトコルの「担保」となっている6億ドル(約660億円)あまりは、すべて奇妙なお金。グローバル金融が注意を払うには十分ではない。しかし、それを支えるスマートコントラクトを破るにはきわめて大きな金額。もしスマートコントラクトが破られるなら、おもちゃの段階の方が良い」とモネグロ氏は述べた。

「オンラインコマースはゆっくりと、そして突然、一気に進展した。オンチェーンでの金融もゆっくりと、そして一気に進む」

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Balloons image via Shutterstock
原文:Traders Turn to DeFi to Capitalize on Tuesday’s Crypto Market Spike