みずほ、楽天、ファミマが「デジタル社債」で実証実験──2020年度中の商品化を目指す

みずほフィナンシャルグループ(FG)が、ブロックチェーンを基盤としたデジタル証券分野に参入する。

みずほFGは2月21日、傘下のみずほ銀行とみずほ証券、みずほ情報総研に加えて、複数のパートナー企業と共同で、個人向けデジタル社債の発行・流通・償還の流れを対象にした実証実験を行うと発表した。

楽天証券、オリコ、ファミマ、ヤマダ電機が協働

実証実験は2月17日にスタートし、3月13日まで行われる。協働する企業は、ヤマダ電機、オリエントコーポレーション、ファミリーマート、楽天証券、岡三証券、松井証券。社債の管理者は、みずほ銀行が担う。

今回の取り組みでみずほが注目するのは、個人向けのデジタル社債だ。同社によると、国内で公募の社債発行額は13.5兆円を超え、過去最高水準に迫る。みずほは社債市場のさらなる拡大を図り、ブロックチェーンで社債原簿を管理するシステムを構築した。

発行体と直接投資家がつながり、ポイント会社との連携でポイント付与もできるようになる。小口・小額の社債を提供することで、若年層やファミリー層の顧客開拓を狙う。実証実験を経て、2020年度内の商品化を目指す。

実証実験スキーム図(リリースより)

野村、三菱UFJも急ピッチで進めるデジタル証券プラットフォーム

デジタル証券(セキュリティ・トークン)は、株式や債権、不動産などの所有権や配当を受ける権利をトークンの形で表したもので、2020年5月頃に予定される改正金融商品取引法の施行で「電子記録移転権利」などに位置付けられる。国内でも動きが本格化してきた。

野村ホールディングスは、デジタル証券基盤を開発するブーストリーを野村総研と立ち上げ、今夏にも社債の発行を目指している。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、傘下の信託銀行を中心にデジタル証券基盤「プログマ(progmat)」を開発しており、不動産と社債の発行に取り組む姿勢を見せている。

また、SBI証券を中心に、野村や大和證券、楽天証券などの大手証券は2019年10月、日本STO協会を設立した。今年1月には、みずほ証券とSMBC日興証券も加入している。

文:小西雄志
編集:佐藤茂
写真:Shutterstock