スイス証券取引所(SIX)、機関投資家向け仮想通貨取引プラットフォームに投資

スイス証券取引所は機関投資家向け取引プラットフォームに投資し、仮想通貨(デジタル資産)分野への「玄関口」として利用する。

スイス証券取引所(SIX Swiss Exchange)は2月25日、サンフランシスコに拠点を置く機関投資家向けソリューション企業オムニエックス(Omniex)との提携を発表した。

同取引所と子会社のスイスデジタル取引所(SDX)における仮想通貨関連サービスの提供を目指す。

スイス証券取引所の取締役トーマス・ゼエブ(Thomas Zeeb)氏は、スイス証券取引所のようなプラットフォームでは仮想通貨へのアクセスを提供する「必要性が高まっていた」と説明した。

オムニエックスとの提携は、新しいデジタル資産市場への「標準化され、安全な玄関口」をスイス証券取引所にもたらすと同氏は語った。

「デジタル取引所インフラとして開発中のSDXを抱えるなか、既存の仮想通貨および将来的にSDXに上場される資産向けに、顧客にフロントエンドを届けるためのオムニエックスとの提携はデジタルエコシステムへの重要な一手となる」とゼエブ氏は声明で述べた。

合意の一環として、SIXはオムニエックスの株式を取得する。ただし、投資額は公表されていない。

SDXは機関投資家に特化

2020年1月の時価総額が1兆スイスフラン(約110兆円)を超えるスイス証券取引所は同国を代表する証券取引所。これまでに複数の仮想通貨ETP(上場取引型商品)を上場してきた。

スイス証券取引所は2019年、機関投資家と個人投資家の双方に向け、信頼できる仮想通貨取引プラットフォームとしてSDXを発表したがその後、機関投資家のみにターゲットを絞った。当初、SDXのローンチは2019年夏の予定だったが幹部クラスの退任が相次ぎ、2020年末に延期された。

金融サービス企業ステート・ストリート(State Street)の元幹部らが設立したオムニエックスは、2017年のシードラウンドで500万ドル(約5億5000万円)を調達した。同社は仮想通貨取引を最適に実行し、遅延を最小限にする技術を取引所に提供している。

「スイス証券取引所とともに、我々は、運用が始まればSDXも含めて、デジタル資産の取引と決済のためのエンドツーエンド・ソリューションを提供していく」とオムニエックスの共同創業者兼CEOフ・リャン(Hu Liang)氏は語った。

「まだ多少、時間はかかるだろうが、デジタル資産のより広範な普及を加速するための土台は整っている」

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Swiss Stock Exchange Invests in Institutional Trading Platform for Digital Assets