イラン軍司令官、制裁回避への仮想通貨の利用をアピール

イラン軍司令官は制裁回避の目的で仮想通貨を使うことを呼びかけたと報じられた。

イランの軍隊の1つ、イスラム革命防衛隊のサイード・ムハンマド(Saeed Muhammad)司令官は2020年2月26日、厳しい制裁の中でも国際投資を強化するために、イランは仮想通貨を検討すべきと述べた。Coinit.irが伝えた(注:イランには「イスラム革命防衛隊」のほか、国軍と呼ばれる「イラン・イスラム共和国軍」が存在する)。

「我々は制裁を回避するために、より洗練されたメカニズム(商品取引所)の創設を求めている」とムハンマド司令官は述べた。

「制裁を回避するために、我々は(他国の)パートナーとともに、商品の交換や仮想通貨の利用といったソリューションを構築しなければならない」

このニュースは、ペルシア語の仮想通貨メディア「Coinit.ir」が26日にテレグラム(Telegram)に投稿した。テレグラムはイランで人気の情報共有アプリ、ブルームバーグは「中東で最も影響力のあるメッセージングプラットフォームの1つ」と伝えている。

イラン国民の仮想通貨アドレスも制裁対象

イランは長年にわたってアメリカの制裁のターゲットになっている。また指導者や国民も米財務省外国資産管理局(Treasury Department Office of Foreign Asset Control)の「特別指定国家(Specially-Designated Nations)」リストによって個人として制裁を受けている。

制裁は、国家をグローバル金融システムから孤立させることを目的としており、国際的組織が制裁対象国家のプロジェクトに投資することや、制裁対象国家が国際的なパートナーと容易に貿易することを阻止している。

最初に制裁を受けた仮想通貨アドレスもイラン国民のものだった。

最近では、世界中で金融犯罪と戦うための基準を生み出す政府間組織である金融活動作業部会(Financial Action Task Force)が、テロへの資金供与を防止するための要件を遵守していなかった疑いで、イランを独自のブラックリストに追加した。

イランは、仮想通貨の幅広い利用に向けた準備を進めている。イラン政府は以前、金融インフラをアップデートするためにブロックチェーンスタートアップと連携した。民間銀行が一部のプロジェクトを支援し、政府が少なくとも1社への資金提供を行うところまで進んだ。

イランが仮想通貨を使って国として制裁回避に取り組むという憶測は長い間語られてきた。だが少なくともある情報筋は2019年2月、イランの中央銀行がそうした分野で実際にプロジェクトを進めていることは「かなり疑念を抱かせるもの」とCoinDeskに語った。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Image via Muhammad Hassanzadeh / Tasnim News Agency / Wikimedia Commons
原文:Iranian General Advocates Crypto Use for Skirting Sanctions: Report