「仮想通貨規制は業界に繁栄をもたらす」SEC監督責任者、「ルールない方が処分しやすい」

「仮想通貨規制は業界に繁栄をもたらす」SEC監督責任者、「ルールない方が処分しやすい」

米証券取引委員会(SEC)の仮想通貨業界監督責任者バレリー・シュシェパニャク(Valerie Szczepanik)氏は、規制の存在が最終的には仮想通貨市場の活性化につながると前向きに考えている。

3月15日金曜日(現地時間)、シュシェパニャク氏は、テキサス州オースティンで開催されていた映画と音楽の祭典「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)」で、「仮想通貨市場に『春』が訪れるのを感じたければ、企業が規制当局と協調することが必要となると私は考えております」と聴衆に語った。「ただ、春はきっとくると思います」とも。

モリソン・フォースター外国法事務弁護士事務所弁護士(Morrison & Foerster LLP)の弁護士、ダニエル・カハン(Daniel Kahan)との質疑応答セッションで、シュシェパニャク氏は、SECの規制アプローチはイノベーションの繁栄を目的としていることを強調した。

「明確なルールがない方が、規制者側には都合がいい。さじ加減一つだから」と同氏は述べている。

現在の証券法に完全準拠して事業が運営していけるのか? という起業家の問いかけに対し、原則主義的なアプローチを取ることの方が新テクノロジーからより多くの機会が生まれることを可能とすると同氏は述べている。

シュシェパニャク 氏は以下のように参加者に語った。

「入念に研究することなく、慌てて、新しい規制制度を打ち出したら、テクノロジーをなんらかの方向に誘導してしまうかもしれないと私は考えております」

ステーブルコインに対する見解を求められた際、同氏は、価格が他の資産と比べて、比較的安定しているステーブルコインには、いくつかの種類があると述べた。

そして、その中でも、固定の価格を維持する資産と、最初の価格を固定するために価値が変動する資産(アルゴリズム型ステーブルコインと称されることが多い)の2種類の資産を生み出すステーブルコインを指し、このカテゴリーに関しては、「証券の領域に入るかもしれない」と同氏は語った。

「人は物事にラベルを貼るのが好きです」と同氏はステーブルコインについて語った。「しかし、我々は常にラベルをめくり、その下で実際に何が起きているのかを確認します。我々が法の下ふさわしいラベルを貼ります」

適切な罰則

シュシェパニャク氏は90分間の対談の中で、SECのフィンハブ(FinHub)を何度か話題に挙げた。フィンハブは、テクノロジーベンチャーとのコミュニケーションに専従するSECの部署。企業はフィンハブを訪ね、職員に自社が取っているアプローチについて相談できる。

カハン氏は以下のように話した。

「規制当局に見つけられるよりも、自分から規制当局を見つける方が常に良い」

シュシェパニャク氏は、SECとの対話が企業により良い結果をもたらすことを強調している。同氏は、SECが最近グラディウス・ネットワーク(Gladius Network LLC)に対して取った規制措置を例に挙げた。グラディウス・ネットワークは、DDoS(distributed denial of service)攻撃から顧客を守るサイバーセキュリティー企業。

2月に発表された同社への措置の中で、SECは、同社が自己申告し、調査中、規制当局と密にコミュニケーションを取っていたことを理由に罰則を科さなかったことを認めている。

企業は初めから規制当局と連携することで、より恩恵を得られると同氏は主張している。

同氏は一部の企業がより緩い規制制度を求めて、海外に移るであろうことを認めつつも、より強いアメリカの規則に準拠する企業にこそ真の機会はあると述べている。

「物事を正攻法で進めることには、利点があります。そして、そのような企業が規範として扱われるようになります」とシュシェパニャク氏は強調した。

国境を越えて、世界中の規制当局が分散型台帳技術(DLT)について、定期的にコミュニケーションを取っていると同氏は述べている。「DLTの活用がもたらし得る効率の向上に、世界中が大興奮していると思います」

ノーアクションレター

新規コイン公開(ICO)ブームの当初から起業家たちが不安を取り除く材料として求めてきたものの1つとして、「ノーアクションレター」が挙げられる。ノーアクションレターとは、SECが企業のビジネスプロセス内容を認め、規制措置を取らないことを認める手紙。

シュシェパニャク氏も過去にこのことを強調している。しかし、これまでにノーアクションレターが1通も発行されていないことをこの領域の弁護士は指摘している。

いずれにせよ、同氏の根本的なメッセージは、証券規制当局と対話をする方が企業にとってより良い結果がもたらされるということ。そのためにも同氏は、より多くの起業家に同氏と対話する機会を与える目的で、「全米横断」の旅に出る予定

同氏は以下のように締めくくっている。

「事後の許しを求めに来られるよりも、事前に質問を尋ねに来られる方がはるかに望ましいです」

翻訳:Yuta Machida
編集:佐藤茂、浦上早苗
写真:SEC Senior Advisor for Digital Assets Valerie Szczepanik speaks at SXSW 2019
原文: SEC’s Valerie Szczepanik at SXSW: Crypto ‘Spring’ Is Going to Come

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