ビットメイン、深センからの出荷を一時停止──共同創業者の対立が原因か

ビットメイン、深センからの出荷を一時停止──共同創業者の対立が原因か

暗号資産(仮想通貨)のマイニング装置で世界大手のビットメイン(本社:中国北京市)が、中国深センにある子会社からの製品出荷を一時中止していると、同国の暗号資産メディア「ブロックビーツ(BlockBeats)が6月10日に報じた。

米CoinDeskは、ビットメインの顧客企業と同社従業員などへの取材を行ったところ、同子会社からの出荷が一時的にストップしていることが分かった。

ブロックビーツの報道によると、出荷が停止されたのは今月初旬で、一度は辞任に追い込まれたビットメインの共同創業者であるミクリー・ザン(Micree Zhan)氏が復帰した時期と重なる。ザン氏ともう一人の共同創業者との対立はこれまでにも報じられ、ビットメインの経営状況の悪化を懸念する声が聞かれてきた。

ビットメインの2018年の資料によると、同社子会社の深セン・センチュリー・クラウド・コア・テクノロジー(Shenzhen Century Cloud Core Technology)は、マイニング装置の製造・梱包・出荷を行っている。ザン氏は2019年10月にビットメインを辞任した後も、この子会社の取締役を務めている。

ビットメインへの注文をストップ

社内抗争がビットメインの事業運営にどれほどの影響を与えているかは不明だが、暗号資産のマイニング業界には懸念が広がる。

ロシアのマイニング施設運用企業ビットリバー(BitRiver)のイゴール・ルネッツ(Igor Runets)CEOは、ビットメインの最新機種「アントマイナー(AntMiner)S19」を待ち望む顧客は多いとコメントした上で、「出荷に時間がかかっている原因の一つには、(ビットメイン)社内の問題があるだろう」と話す。

ビットメインへの注文を取り止める企業も出てきた。北米のマイニング装置販売大手で、自社マイニング施設を保有するブロックウエア・ソリューションズ(Blockware Solutions)は、ビットメインの状況を察知し、同社への注文を一時ストップしているという。

ブロックウエア・ソリューションズ共同創業者兼CEOのマット・デスーザ(Matt D’souza)氏によると、同社は自社施設のほかに、顧客にマイニング装置のホスティングサービスも行っており、定期的に数千台単位の需要があるという。

ザン氏と対立してきたウー・ジーハン氏

ザン氏と共同創業者のウー・ジーハン(Wu Jihan)氏との対立は、一度はザン氏が昨年10月に会社を辞任したことで収束するかに思われた。しかし、ザン氏が今月に北京オフィスに復帰すると、対立は社内抗争へと発展し、ビットメインは2つのグループに分断されたと言われる。

ザン氏は5月初旬、ビットメインの中国における法定代理人としての立場を手にする。中国では、法定代理人は会社を代表する広範な権力を持ち、通常、会社の公式社印を持つことができる。

ビットメインの社内抗争は、同社のウェブサイトやSNSを通じて明らかになった。

ビットメインは4月下旬、自社のウェブサイトで、マイニング装置の注文に対する支払い口座を「Fujian Zhanhua」から「Chongqing Guiyuan」に変更したと通知。理由は、Fujianがザン氏に対する法的手続きに関わっているためだという。

激化する権力闘争

5月初旬には、法定代理人のポストを獲得したザン氏が、ビットメインで最高財務責任者(CFO)を務めてきたリュウ・ルーヤオ(Liu Luyao)氏を解雇する書類に署名。

6月10日、ビットメインは公式ウィーチャット(WeChat)で声明を発表。同社の古い社印は無効となり、新しい公式社印が効力を持つことになると述べた。ザン氏が新しい社印を持ち、ウー氏側は古い社印を持っているということだ。

また、ザン氏はビットメインの公式ウィーチャットのアクセス権を握った可能性がある。

11日午後には、ビットメインの公式ウィーチャットは新しい社印を掲載した通知を発表し、ビットメインの全ての従業員に対して、北京オフィスに戻り、仕事に復帰するよう命じた。発表文にはこう記されていた。

「北京オフィスでは6月分の出勤チェックを実施する。北京オフィスの全従業員は、13日間オフィスに出勤した場合のみ、給料全額を受け取ることができる」(同社公式ウィーチャット)

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
写真:CoinDesk archives(PhotoMoshで加工)
原文:Bitmain’s Power Struggle Takes Toll on Customers as Co-Founder Halts Shipments

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