「就活にブロックチェーン」慶大のプロジェクトに三菱UFJ銀、住友生命など参加

「就活にブロックチェーン」慶大のプロジェクトに三菱UFJ銀、住友生命など参加

慶應義塾大学の研究機関がスタートアップと共同で、ブロックチェーンを活用した個人情報の管理・活用システムを開発し、就職活動に役立てられるプロジェクトを始める。

プロジェクトは同大学経済学部附属経済研究所FinTEKセンターとスタートアップInstitution for a Global Society(IGS)による共同研究で、「STAR」(Secure Transmission And Recording)と名付けられており、開始時点では三菱UFJ銀行、SOMPOホールディングス、住友生命保険の参加が決まっている。今後、一業種一社に限定しながら、20社以上の参画を目指すという。

「忘れられる権利」にも対応

IGSの発表によると、STARプロジェクトは「学生の個人情報を、学生自身の手に戻す」をテーマとする参加企業との3年間の実証研究。目的として、「学生の個人情報提供における安全性と透明性の確保」「学生と企業双方を利する個人情報活用戦略の研究」「学生と企業のマッチング精度向上」が挙げられている。

具体的には、ブロックチェーンのトレーサビリティー機能に、暗号技術などを組み合わせて個人情報を保護することで、学生が自分のデータをどこに、どこまで、いつまで開示するかを、自由かつ完全にコントロールできるようにする。学生自身が入力する情報だけでなく、第三者からの評価情報も入力可能にすることで、情報の信頼性や客観性させるという。

GDPRの「忘れられる権利」にも対応し、学生が開示したパーソナルデータを消すこともできる。

学生のメリット、参加企業のメリット

学生のメリットとしては、情報提供依頼があった複数の企業に対し開示先・開示範囲・開示期間を自ら選択できるほか、教員、先輩や友人など、周りの人からの客観的な評価を企業に開示できる。また開示不要となった記録を消去できる。

企業にとっては、学生から得られなかった学内外での評価や授業内での発言などのパーソナルデータを活用し、潜在的な優良人材を発見し、アプローチすることができる。また、オンライン面接など学生との接点が制限される環境下でも、学生のパーソナルデータを活用することで、学生の能力や特徴を深く知ることができるというメリットがある。さらには個人情報の許諾作業や管理、廃棄も不要になる。

プレスリリースより
プレスリリースより

3年間の計画は次の通り。

実証1年目──ブロックチェーン技術によって、学生の個人情報の秘匿性を担保しつつ、企業がデータを有効活用する技術基盤を構築。慶應義塾大学の学生を中心に5,000人以上の利用を想定。

実証2年目──学内のサークルやゼミナール活動履歴、学外での活動を記録するアクティビティ要素を追加、ラーニングマネジメントシステムと連携し、学生の学びや活動履歴を追加、学生が活発に情報発信するデザイン・機能へ拡張。慶應義塾大学の大半の学生と他大学5校以上の学生1万人の利用を想定。

実証3年目──慶應義塾大学の大半の学生の利用及び、他大学10校以上の学生2万人による利用を想定し、学生数の増加に耐えうるスケールアップを行い、パフォーマンスをさらに改良する。

実証実験が終わった4年目以降は、実証研究参画企業以外の企業や他大学生の利用により、プラットフォーム化を目指す。

FinTEKセンター、IGSとは

FinTEKセンター(センター長:中妻照雄経済学部教授)は、フィンテックに関する学際的研究と教育を目的とする組織。情報通信技術、暗号学、経済理論、データサイエンスなどを活用した研究を促進、フィンテックが経済と社会に与える影響を実証的に分析し、適切な制度設計と経済運営のための政策提言を行っている。

IGS(福原正大代表取締役社長)は2010年設立のスタートアップで、株主に東京大学エッジキャピタルパートナーズ、東京理科大学インベスト・マネジメント、慶應イノベーション・イニシアティブなどの大学系VCや、河合塾、三菱総研などが名を連ねている。教育・HR領域で、評価指標の研究や評価ビッグデータの分析、学生と企業のマッチング支援に取り組んでいる。これまでに、AI搭載エンジンにより、社員や採用候補者のコンピテンシー、気質などを科学的に測定し、能力を可視化する「GROW360」や、生徒・学生の資質・能力と各種教育活動の教育効果を定量化する教育機関向け評価ツール「Ai GROW」などを開発、提供している。

文・編集:濱田 優
画像:Osugi / Shutterstock.com

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