築80年、葉山の古民家宿づくりにデジタル証券──空き家問題に“STO”は有効か

不動産のクラウドファンディング事業を展開するエンジョイワークスは、投資家からの出資に対してデジタル証券(セキュリティトークン)の活用を始める。

神奈川県鎌倉市に本社があるエンジョイワークスは、「葉山の古民家宿づくりファンド」を通じて一般の投資家向けにデジタル証券で資金を調達する。この取り組みでは、セキュリティトークンの発行・管理プラットフォームを開発する米セキュリタイズ(Securitize)と、不動産情報サイトを運営するLIFULL(ライフル)が共同で開発した基盤を活用する。3社が10月20日に発表した。

出資者は、ブロックチェーン上で発行されたトークンで持ち分保有を証明することができ、スマートコントラクトを介して譲渡することが可能だ。セキュリティトークンを用いて資金を調達する方法をセキュリティートークンオファリング(STO)という。

葉山の空き家を新たな資産に変える

葉山の古民家宿づくりファンドが対象としているプロジェクトは、別荘地でも知られる葉山町にもある空き家問題を解決することを目的としていると、同ファンドの概要を説明するサイト「ハロー!RENOVATION」に記載されている。

少子高齢化が進む日本で、空き家が増加している問題は葉山にもあるという。築80年を超える歴史的価値のある建築物を空き家にしてしまうのではなく、古民家を再生利用することで葉山の新たな資産に変えていく。

また、このプロジェクトを進めることで、持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標のうち、11番目の「住み続けられるまちづくり」と12番目の「つくる責任、つかう責任」を果たしていくとしている。

セキュリタイズ(本社:米サンフランシスコ)はこれまでに、三菱UFJフィナンシャルやSBIホールディングス、野村ホールディングス、ソニー・フィナンシャル・ベンチャーズを含む各国の金融機関から3000万ドルを超える資金を調達し、デジタル証券の発行・管理プラットフォームの開発を進めてきた。セキュリタイズによると、同社のプラットフォームを利用する投資家は現在までに4万人を超える。

文:佐藤茂
写真:葉山町・森戸海岸(Shutterstock)