買い増しを検討──ビットコインの大量保有で知名度上げたナスダック上場企業

ビットコインを大量に保有する米マイクロストラテジー(MicroStrategy)は、同暗号資産の買い増しを検討している、同社社長が決算説明会で明らかにした。マイクロストラテジーは現在、5億2100万ドル(約544億円)相当のビットコイン(Bitcoin)を保有している。

マイクロストラテジーのフォン・リー(Phong Li)社長は、ビットコインへの投資が22%のリターンに加えて、知名度の向上をもたらしたと同説明会で語った。マイクロストラテジーは、データの分析を行うビジネスインテリジェンス事業を軸に置くナスダック上場企業。

リー氏は「ビットコインへの投資によって、より広い市場において我々の認知度を高める効果をもたらした。予想外の利益だ」と述べた。

予期せぬビットコイン効果

決算報告のカンファレンスコールに出席した同社の最高経営責任者(CEO)マイケル・セイラー氏は、ビットコイン準備金が同社のリクルーティング、マーケティング、ブランディングにおいても貢献したとコメント。

「より多くの企業や組織がこの考えを理解すれば、ビットコインを活用は増えていくだろう」とセイラー氏は述べた。

マイクロストラテジーの株価は、セイラー氏が同社のビットコイン保有を開示した8月11日以来、40%以上上昇している。また、ビットコインを大量保有する上場企業として、同社の知名度も上がった。

同社の経営幹部は7月下旬、ドル安に対するヘッジ手段として、2億5000万ドル(約261億円)の資金を1年以内に代替資産に割り当てることを討議した。結果、ビットコインが同社にとって唯一の代替資産になった。

暗号資産とは無縁のビジネスモデル

マイクロストラテジーはこれまで暗号資産とは無縁の事業環境で経営を続けてきた。ブロックチェーン分野との唯一の接点は、同社が2019年に「Voice.com」のドメイン名を3000万ドル(約31億円)でEOSに売却したことくらいだ。

ビットコインの大量保有は、「マイクロストラテジーにとっては、バーチャルテクノロジーの採用例でもある」とセイラー氏は述べる。

マイクロストラテジーは現在、ビットコインを主要準備資産に位置付け、必要に応じて保有量を増減できるとしている。予想外にもたらした“ビットコイン効果”を考えると、マイクロストラテジーが今後さらに保有量を増やしても驚くことはないだろう。

翻訳:新井朝子
編集:佐藤茂
写真:ニューヨーク・マンハッタン(Shutterstock)
原文:MicroStrategy Is Looking to Buy More Bitcoin, President Says