ビットコイン（BTC）は2カ月で大幅に上昇し、33カ月ぶりの高値を記録。1万6000ドルは目前だ。
価格上昇は9月上旬、ビットコインが1万ドルを切った頃に始まり、10月後半に勢いをました。ビットコイン価格は先週、2018年1月以来の高水準となる1万5971ドルとなり、CoinDeskのBitcoin Price Indexによると、8週間で63%の上昇となった。
2018年と2019年、ビットコインはしばしば1万ドルを割って低迷、2017年末に記録した2万ドル近い史上最高値の後の暴落からの回復に苦戦していた。
では、今回の価格高騰の引き金はいったい何だったのか？強気市場を牽引する3つの主な要素を見てみよう。
1. 機関投資家の参入増加
「ここ8週間で、さまざまな上昇会社やヘッジファンドがかなりの資本規模で暗号資産（仮想通貨）市場に参入した」とシンガポールに拠点を置くStack Fundsの共同創業者兼COO、マシュー・ディブ（Matthew Dibb）氏は述べた。
ナスダック上場企業のマイクロストラテジー（MicroStrategy）は9月15日、4億2500万ドル（約450億円）相当をビットコインに投資していることを発表、その3週間後には決済大手のスクエア（Square）も53億円相当のビットコイン投資を明らかにした。
10月にはデリバティブ市場も強気が支配し、機関投資家がシカゴ・マーカンタイル取引所（CME）に上場しているビットコイン先物でのロングポジション（買い持ちポジション）は過去最高となった。
機関投資家の参入増加はおそらく、価格に上昇圧力を加えた。さらに、広範な市場心理を活気づけ、多くの買い手の市場参入を促した可能性が高い。
ビットコインの「くじら」──最低1000ビットコインを保有するアドレス──の数は10月末、4年ぶりの高水準となり、また「蓄積アドレス」が過去最高となったことが示しているように、個人投資家の参入も増加した。
蓄積アドレス：少なくとも2回のビットコインの購入経験があり、かつビットコインを使用した形跡がないアドレス。
新型コロナウイルス感染拡大以降、FRB（米連邦準備制度理事会）による大規模な国債購入、そして政府による追加の経済刺激策の見込みはドル下落の恐れをあおり、機関投資家と個人投資家の双方に少なくとも一部の資金をビットコインに投資する動機を与えた。
「さらなる経済刺激策の話題がビットコインを安全資産に等しいものにした。ビットコインは比較的短い期間しか存在していないにもかかわらず、価値の保管手段としてのゴールドの性質の多くを備えている」（ディブ氏）
2. 供給不足
出典：Glassnode
その多くが機関投資家である大規模なスポットバイヤーは、ビットコインの流動性不足を生み出し、価格に上昇圧力を加えた。
「グレイスケール（Grayscale）のグレースケール・ビットコイン・トラスト（GrayScale Bitcoin Trust）、マイクロストラテジー、大規模なスポットバイヤーの流入によって、ビットコインの供給は希少なものになり始めている」（ディブ氏）
さらに、個人投資家が取引所から自身のウォレットにビットコインを移動させて直接カストディ（管理・保管）を行い、売り手側の流動性不足を拡大させた。グラスノード（Glassnode）のデータによると、暗号資産取引所に保管されているビットコインはここ2カ月で9%減少し、240万4788ビットコインとなった。
取引所のビットコイン保有数の減少は、市場での強い保有心理を示している。
3. テクニカル分析
出典：TradingView
ビットコインの強気傾向は10月第3週、1万2500ドルを超えた後に強くなった。
当時、多くのアナリストは強気筋がクリアすべき水準として、1万2500ドルを指摘していた。これはビットコインが8月に1万2500ドル付近に達した後、急速に下落したためだ。
「真のレジスタンスは1万2500ドル付近にある。従って、その水準を超える意味のある上昇があるまでは何も起きていない」とExoAlphaの最高投資責任者、デビッド・リフチッツ（David Lifchitz）氏は10月20日にCoinDeskの取材で述べている。
確かに、その後の1万2500ドルを超える上昇は、より強力なチャート主導の買い圧力につながったようだ。
ビットコインは10月第3週を重要なハードルを超えて締めくくり、続く2週間もその水準を維持した。ビットコインは今は支持線となった1万2500ドルをそれ以降、下回っていない
翻訳：山口晶子
編集：増田隆幸、佐藤茂
画像：Glassnode
原文：3 Reasons Bitcoin Has Rallied Over 60% in Just Two Months
