トークン化ビットコインの「焼却」増加 ── DeFiから資金引き上げ続く

ビットコインに裏付けられたイーサリアムブロックチェーン上のトークン「WBTC(Wrapped bitcoin)」の残高は20億ドル(約2090億円)を超えるが、焼却(あるいは、アンラッピング:イーサリアム上のWBTCの枚数を減らすこと)数量が増加している。DeFi(分散型金融)市場の冷え込みが影響している。

暗号資産のビットコインは強気相場が続くなか、スリー・アローズ・キャピタル(Three Arrows Capital)やアラメダ・リサーチ(Alameda Research)などのビットゴー(BitGo)の顧客は今年、トークン化ビットコインの多くをビットコインに交換している。

「DeFiの利回りは低下し、中央集権型取引所での取引が増加することによって、我々のニーズはそうする方向に向かった」とアラメダ・リサーチのラン・グ(Lan Gu)氏は述べる。

ビットコインのマイニングよりも速いペースでラッピング(ビットコインのトークン化)が行われてた“熱い夏”に続いて、DeFiは過去数カ月で著しく冷え込み、数々のDeFiプロジェクトで利回りは減少した。

アラメダのWBTCの焼却は、ビットコイン価格が上昇を続けるなか、部分的にはOTC(店頭取引)の動きの変化と、内部資本の再調整の結果でもあると、同社は説明する。

焼却は想定内

焼却を増加させているもう1つの要因として、大手分散型取引所ユニスワップ(Uniswap)が11月に流動性報酬プログラムを終了させたことがあると、ビットゴーのWBTCプロダクトマネージャー、キアラシュ・モサイェリ(Kiarash Mosayeri)氏は述べた。同プラットフォームに資金を置いておくユーザーのインセンティブが弱まったという。

WBTCの月間発行数/焼却数(橙:発行/紺:焼却)
出典:Wrapped Bitcoin, CoinDesk Research

現在、約12万WBTCが流通しており、11月には8000以上のWBTCが発行された。しかし、11月には4300という記録的な数のWBTCが焼却された。12月に入り数日で、約2000のWBTCが焼却され、新たに発行されたWBTCは存在しない。

WBTCの月間焼却数
出典:Wrapped Bitcoin, CoinDesk Research

この2週間で4000以上のWBTCを焼却した大手WBTCマーチャントのスリー・アローズ・キャピタルは、焼却した理由についてのコメントを控えた。ビットゴーのWBTCオーダーブックによると、スリー・アローズは10月中旬以降、新たなWBTCを発行していない。

WBTCの時価総額は、当記事執筆時点で23億ドル(約2400億円)を超えている。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:CoinDesk Research
原文:Wrapped Bitcoin ‘Burns’ Increase as Traders Rotate Capital Out of Cooling DeFi