MakerDAOの「MKR」トークン、2年ぶりの高値──DeFiの急成長がけん引

DeFi(分散型金融)のパイオニア的プロジェクトであるメーカーダオ(MakerDAO)のガバナンストークン「MKR」が6日、2年以上ぶりの高値を記録した。

ガバナンストークン:分散型プロジェクトの運営で、ユーザーなどの関係者が投票するためのトークン。DeFiプロジェクトがお金を集めるための新しい手段となっている一面もある。

MKRは6日、一時1251.14ドル(約12万9000千円)まで上昇し、2018年1月21日に記録した1798.70ドル以来の高値をつけた。記事執筆時点には1068.53ドルまで下落したが、それでも24時間で44%の上昇となった。

アナリストらは、この上昇はDeFi(分散型金融)の急成長がもたらした、長く期待されていた結果にすぎないと述べる。

デジタル資産に特化した調査・コンサルティング会社、デルファイ・デジタル(Delphi Digital)」の共同創業者、ヤン・リバーマン(Yan Liberman)氏は、メーカーダオのステーブルコイン「ダイ(dai)」の供給が急激に増加したことが、MKRの価格を押し上げたとコメント。

ダイの価格推移(黒)と時価総額(橙)
出典:Glassnode

メーカーダオでは、ユーザーが預け入れたイーサリアム(ETH)を担保にダイを発行する。MKRの保有者は、メーカープロトコルとダイの開発における議決権を持つ。

DeFiが再び活況

DeFiは一時、成長のピークに達したと言われていたが、再び人気を集めている。DeFiパルス(DeFi Pulse)のデータによると、DeFiへの預かり資産(TVL:total value locked)は216億ドルを超えている。

MKRの価格が「低迷」していた昨年の夏時点と比べると、MKRのファンダメンタルズは改善し、需要の増加につながったと、メッサーリ(Messari)のリサーチアナリスト、ライアン・ワトキンス(Ryan Watkins)氏は述べる。

取引所FTXでのMKRの価格推移
出典:TradingView

またアナリストは、価格上昇は現在の暗号資産全体の強気ムードが引き金となった可能性もあると話す。「業界の熱気は、(MKRの価値が)ようやく認められるきっかけとなった」とワトキンス氏は述べた。

翻訳:新井朝子
編集:増田隆幸、佐藤茂
画像:メーカーダオの創業者、ルーン・クリステンセン氏
原文:Maker’s MKR Token Surges to 2-Year High on DeFi Growth