- ビットコインは一時9万4000ドルを突破したが、その後、9万2500ドルまで下落した。投資家はFRBの重要な決定を待っている。
- アルトコインはまちまちの動きを示し、イーサリアムは7％上昇、カルダノは8.5％急騰した。
- アナリストの間では、ビットコインの最近のボラティリティが市場の底を示しているのか、それとも不確実性の継続を示しているのかが議論されている。
ビットコイン（BTC）は12月9日に一時9万4000ドルを上回ったが、10日のアジア取引時間午前中に9万2500ドルまで下落した。この変動により強気のポジションが回復したが、今年最も重要なアメリカ連邦準備制度理事会（FRB）の決定を前に、市場は不安定な状況に陥った。
この動きは、アジアの株式がまちまちの取引となる中で起きた。投資家はFRBの政策方針とジェローム・パウエル（Jerome Powell）議長による2025年最後の記者会見を待っている。
アルトコインもまちまちで、イーサリアム（ETH）は過去24時間で7%上昇し、3320ドル前後で取引され、週間の上昇率は10%近くまで拡大した。ソラナ（SOL）は5%以上上昇し、ドージコイン（DOGE）は5%上昇した。カルダノ（ADA）は、1日で8.5%、1週間でも6%近く上昇し、他を上回るパフォーマンスを見せた。トレーダーが夜間の動きで利益確定を行ったため、アジア時間の午前中にすべてのトークンは1～2%下落した。
エックス・アール・ピー（XRP）は24時間で2%の小幅な上昇にとどまり、1週間では4%の下落のままだった。一方、バイナンスコイン（BNB）、USDコイン（USDC）、トロン（TRX）は横ばいで取引された。
小型トークンは市場の厚みが依然として薄く、これまでの12月の取引を特徴づける不均一な流動性を反映している。
ビットコインの反発はソーシャルセンチメントの急上昇に支えられた。ブロックチェーン分析企業サンティメント（Santiment）は、この水準が個人投資家の楽観的な見方を引き起こし、「トレーダーはFOMO（取り残されることへの不安）から再び市場に戻り、価格上昇を期待している」と指摘し、「価格上昇」の需要が高まっていると述べた。
しかし、その後、センチメントは急速に冷え込んだ。BTCはアジア時間の午後に9万3000ドルを下回ったことで、この動きがテクニカル的に意味を持つのか、それとも8万6000ドル～9万4000ドルの広いレンジ内での単なる「ストップ狩り」に過ぎないのか、改めて議論を呼んでいる。
一部のアナリストは、このボラティリティ急騰が実は勢いの枯渇を示す可能性があると主張した。CFベンチマークス（CF Benchmarks）の調査アナリスト、マーク・ピリプチュク（Mark Pilipczuk）氏はメールで、ビットコインが「典型的なボラティリティ急騰を示し、実現ボラティリティ（RV）が数カ月ぶりにインプライド・ボラティリティ（IV）を上回った」と述べた。
彼は、歴史的にこのクロスオーバーが「8回発生し、そのうち6回はビットコインの底入れと回復の始まりと一致した」と指摘した。
ビットゲット（Bitget）のグレイシー・チェン（Gracy Chen）CEOは、暗号資産（仮想通貨）は株式よりも脆弱な状態が続いていると述べ、「ビットコインが8万6000ドルから9万4000ドルの広い範囲で調整されているのは、市場に決定的な動きを起こすだけの十分な支えがないことを示している」と指摘した。
一方、世界市場では、中国株が11月のインフレ率が上昇したとの新たなデータを受け、追加的な金融緩和の見通しが後退したことで下落した。日本株は小幅安となった一方、韓国と台湾では小幅な上昇が見られた。シルバー（銀）は上昇を続けて過去最高値を更新し、ドルは横ばいだった。これは、世界の中央銀行が2026年まで金融緩和を継続するかどうか、市場全体が依然として不透明感を抱いていることを反映している。
FRBの政策、世界の株式市場のセンチメント、暗号資産特有の資金フローが交差する中、次の大きな動きはパウエル氏の発言後にビットコインが9万4000ドルから9万6000ドルのレンジを回復できるかどうか、あるいはマクロ的な警戒感から8万ドル台半ばまで下落するかどうかによって決まるだろう。
｜翻訳：CoinDesk JAPAN
｜編集：井上俊彦
｜画像：Shutterstock
｜原文：BTC, ETH, SOL, ADA Pull Back Ahead of Fed Meeting Where Rate-Cuts Expected
