スタートバーン、11.2億円を調達──アート×ブロックチェーン+NFTでグローバル展開

ブロックチェーンを活用して、アート作品にトレーサビリティ(追跡可能性)と流動性を促す技術を開発するスタートバーン(東京・文京区)が、11億2000万円の資金を調達した。事業のグローバル展開を加速させる。

スタートバーンは12日、シリーズBの調達ラウンドを完了したと発表。同ラウンドには、京都大学・みやこキャピタルと東京大学エッジキャピタル(UTEC)を含む複数の投資家が参画した。同社がアート作品の信頼性を守るために開発したブロックチェーン証明書「Cert.」の技術を、海外で普及させていく。

スタートバーンが開発したブロックチェーンCert.には、アート作品の情報が記録され、その作品の真正性が担保される。作品の来歴だけでなく、展示歴や修復歴、鑑定歴などの情報もCert.に記録することが可能で、作品が制作された当時の色や質感を情報として残すことができる。記録データを利用すれば、作品の修復や鑑定を従来の方法よりも容易に行うことが可能だ。

作品とデータを紐づけるため、作品本体にはICタグを貼りつける。ICタグは200年の耐久性があり、破損した場合は、Cert.に記録した上で再発行することができる。スタートバーンは、ICタグが貼り替えられることを防止するため、作品から剥がすと物理的に破損する仕掛けのICタグを開発した。

作品の撮影・分析データは、Cert.の発行者と作品の所有者にのみ閲覧できるかたちでCert.に格納され、作品と照らし合わせることができる。作品の背面に記されたアーティスト本人のサインなど、作品の識別に活用できる画像データを格納する。

また、スタートバーンは、今回調達した資金の一部を新たに始めたノンファンジブル・トークン(NFT)事業の拡大に充てる方針だ。コンテンツを扱う企業がNFT事業を始められるサービスで、スタートバーンは企業顧客にブロックチェーンとバンクエンドシステムを提供する。

スタートバーンが海外事業を行う上で注力する国は、アート市場をけん引するアメリカ、イギリス、中国、シンガポール。同社はすでにアメリカとシンガポールにおける事業を開始している。アート作品の流通環境が整備されていないカンボジアやタイ、スリランカでも、スタートバーンのサービス導入が始まった。

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|編集:佐藤茂
|トップイメージ画像:NYのメトロポリタン美術館(Shutterstock)