米大物投資家、企業幹部を魅了するビットワイズ、その戦略とは?

米大物投資家、企業幹部を魅了するビットワイズ、その戦略とは?

暗号資産投資会社のビットワイズ・アセット・マネジメント(Bitwise Asset Management)は、5億ドルの評価を受け、7000万ドル(約77億円)の資金を調達した。12億ドルの資産を運用する同社は、20兆ドル規模に及ぶアメリカの金融顧問業界への参入を狙っている。

今回のシリーズB資金調達ラウンドを主導したのは、テック投資家のエラッド・ギル(Elad Gil)氏と、暗号資産ベンチャーファンドのエレクトリック・キャピタル(Electric Capital)だ。

著名投資家のダニエル・ローブ氏が率いるサード・ポイント(Third Point)、ヘッジファンド運用者のスタンレー・ドラッケンミラー(Stanley Druckenmiller)氏、投資家のヘンリー・クラヴィス(Henry Kravis)氏、ブリッジウォーター・アソシエイツ(Bridgewater Associates)のCEO、デビッド・マコーミック(David McCormick)氏、ブラックストーン(Blackstone)のシニアマネージングディレクター、ナディーム・メグジ(Nadeem Medhji)氏など、金融業界の大物たちも参加した。

CEOのハンター・ホースリー(Hunter Horsley)氏が、いまや収益性を持つようになったと主張する創業5年目のビットワイズは、ファイナンシャルアドバイザーたちとのつながりをさらに強化する計画だ。

ホースリー氏は、暗号資産の幅広い普及にはそれが不可欠だと考えている。約30万人のファイナンシャルアドバイザーたちが、アメリカの民間の資産の大半を管理していると、ホースリー氏は指摘した。

ホースリー氏はインタビューで、大半のアメリカ人が「この先10年間に何らかの形で暗号資産を保有するようになるだろう」と予測する。そこに到達するには、暗号資産を資産運用会社にとって、株式、債券、ETF(上場投資信託)とシームレスな投資にする必要があると、ホースリー氏は続けた。

「資産運用会社は、大きな出来事の発生時に利益を上げるイベントトレーディングをしたり、市場の裏をかこうとしている訳ではない。暗号資産が、その他の投資とうまく調和するようになって欲しいだけだ」とホースリー氏。

大きく成長するビットワイズ

ビットワイズはすでに、1月と比べて2倍となる200の金融顧問会社とのつながりを確立している。顧客教育リソースと、関係管理チームを強化することで、より多くのパートナーを見つける計画だ。

ビットワイズは、ビットコイン(BTC)とイーサリアム(ETH)ファンド、分散型金融(DeFi)インデックスファンドを含むテーマ型インデックスファンド、さらには、マイクロストラテジー(MIcroStrategy)やライオット(Riot)など、暗号資産に投資している企業に投資する「Crypto Industry Innovators ETF(BOTQ)」などの関連するETFプロダクトを提供している。

BITQだけでも、5月初旬のニューヨーク証券取引市場での取引開始以来、4500万ドルの資金が流入している。

ETFの望み?

今回調達した新たな資金は、ビットワイズがさらに多くのプロダクトをより速く開発する役に立つと、ホースリー氏は述べ、「今年はさらに多くのプロダクトを世に送り出していく」と意気込みを語った。

そうするとビットワイズは当然、ビットコインETFにも挑むことになると思われる。実際同社は、以前にもETFをローンチしようとしたことがあるが、米証券取引委員会(SEC)によって何カ月も足止めを食った後、2020年には計画を白紙に戻した。SECはいまだに、1つのビットコインETFも承認していない。

少なくとも9社が、新たな委員長ゲーリー・ゲンスラー氏を迎えたSECからのビットコインETF承認に望みをかける中、今のところビットワイズは、脇でじっと待つことに徹している。

「ETFは優れたプロダクトだ。しかし私たちは、(ビットコイン)ETFなしでも前年比で20倍以上成長してきた」とホースリー氏は自信をのぞかせた。「投資家が暗号資産を残りの投資の中に盛り込むのを助けるために、私たちが開くことのできる経路は様々に存在する」

名高い支援者たち

今回の資金調達ラウンドの参加者には他にも、コインベース・ベンチャーズ(Coinbase Ventures)、パラファイ・キャピタル(ParaFi Capital)や、フェイスブック、グーグルX、スポティファイ、ビザ、インスタカート(Instacart)といった、テックや金融企業の幹部も含まれる。

ラウンドを主導したギル氏とエレクトリック・キャピタルは、企業への暗号資産の普及が現実というよりは、単なる思考実験であった頃からビットワイズに投資してきた。それ以来、主要金融企業が暗号資産業界に飛び込むようになって1年以上たち、状況は根本的に変化した。

ビットワイズは一連の「とにかく伝説的な人たち」を支援者とするのに慎重な道のりを歩んできたと、エレクトリック・キャピタルの共同創業者アヴィカル・ガーグ(Avichal Garg)氏は語った。

「暗号資産を本当に理解する必要がある。しかし、従来型の金融やウォール街、資産運用についても真に理解している必要がある」とガーグ氏。「引き寄せた投資家たちは、それを反映するものとなっていると思う」

株式投資家たちは、ビットワイズが暗号資産市場における「有数の資産運用会社」であると考えていると、ガーグ氏は言う。同氏の見立てでは、暗号資産市場はこの先、10〜100倍も成長する余地がある。

「資産へのキャピタルフロー、そして資産運用会社が運用する20兆ドルを考えれば、クレイジーな予測ではない」とガーグ氏は語り、ビットワイズが、民間資産運用会社から数兆ドル規模の資金が暗号資産に流れ込む「主要な経路」になり得ると結論づけた。

長期投資に値する分野

新たな資金は、ビットコインの4月の高値を受けて実現したものだと、ホースリー氏は語った。「6万ドルが最高値だったとすれば、今回のラウンドは最高値の後に起こったのだ」

ビットワイズは2017年、ビットコインが歴史的な2万ドルの高値に近づき、その後ひと月もせずに65%の急落を記録した頃に、シードラウンドで400万ドルの資金を調達した。ビットワイズがシードラウンドを発表したのは、高値のわずか数週間前のことであった。

その時も今も、ビットワイズの支援者たちは「長い目で見て投資している」とホースリー氏は述べた。

「彼らは暗号資産はこのまま定着する資産だと考えており、ビットワイズはこの分野で長続きする可能性があると考えているのだ」と、ホースリー氏は自信を見せた。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:NY・マンハッタンの金融街(Shutterstock)
|原文:Hedge Fund Giants Druckenmiller, Loeb Back $70M Funding for Crypto Asset Manager Bitwise

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