マスターカード、暗号資産データ分析のCipherTraceを買収

マスターカードが、暗号資産(仮想通貨)の取引データ分析を手がける米サイファートレース(CipherTrace)社を買収した。

両社は9月9日、買収についての発表を行った。買収額などの詳細は明らかにしていないが、マスターカードはサイファートレースを買収することで、およそ900種類の暗号資産の取引データを分析する技術を取得する。

サイファートレースは、暗号資産の取引データを分析して、暗号資産を扱う企業などにマネーロンダリングやテロ資金供与などの金融犯罪を防止するサービスを開発してきた。欧米では、サイファートレースの他に、ニューヨークに拠点を置くチェイナリシス(Chainalysis)や、イギリスのエリプティック(Elliptic)が同じく、暗号資産の取引データを分析する代表的な企業として事業を拡大している。

サイファートレースは今年、米アクティビストファンドのサードポイント(Third Point)を含む投資家から2700万ドル(約28億円)の資金を調達。一方のチェイナリシスも今年、1億ドル(約110億円)の資金調達を行い、企業評価額が20億ドルを超えたと報じられている。

マスターカードは発表文で、同社は顧客に暗号資産の利用を推奨することはしないが、消費者と事業者がデジタル資産に移行できる準備を進めていると述べた。

日本では、スタートアップのバセット(Basset)が同様の分析技術を開発してきたが、メルカリの子会社であるメルコインが7月に同社を買収した。メルコインは現在、暗号資産やNFT(非代替性トークン)を扱う事業開発を行っている。

|編集:佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Mastercard Acquires Crypto Tracing Firm CipherTrace