英金融行動監視機構高官、「リブラにはいくつかの疑問」

英金融行動監視機構(FCA)の高官は、2019年7月2日、ケンブリッジ大学で講演し、フェイスブック(Facebook)の仮想通貨プロジェクト「リブラ(Libra)」を精査する必要性を指摘した。

フェイスブックは、2020年までにリブラを通して、フリクションレスなグローバル通貨を打ち出そうとしている。同社は、すでにFCAと協議したと報じられているが、FCAの戦略・競争部門担当理事クリストファー・ウーラード(Christopher Woolard)氏は、同社の試みにはいくつかの疑問があると述べた。

ロイターによると、ウーラード氏は、リブラの「サイズと規模は、この領域においてどの程度が許容可能で望ましいのかという、全般的な問題を社会や政府に対して提起する」と述べた。

同氏は、フェイスブックが世界規模の金融サービスを展開するにあたって、同社が以前まで掲げてきたモットーは不適切だと考えている。「歴史的に、このセクターは『迅速に動いて、物事を破壊せよ(move fast and break things)』をモットーに掲げてきたのかもしれません。しかし、ここで提起されている問題には、細部にまで気を配った、深い思慮が必要です」

リブラを支援している28社は、世界中の銀行口座を持たない人口に金融へのアクセスを提供する、もしくは送金をフェイスブックのエコシステム内で写真を共有するのと同じくらい簡単にすることを目指しているとしている。

FCAは、基本的に暗号資産をケースバイケースで個別に調査し、それが競争市場や消費者に与える恩恵だけでなく、その複雑さやその他リスクが高まることで生じる害を見極めているとウーラード氏は語った。FCAの目的には、消費者保護だけでなく、健全な競争を保つことも含まれておりり、FCAはリブラが市場の健全性や競合の参入に与える影響も判断する。

「(リブラの)技術的な詳細、技術、法的扱いなど、現実的な問題について考えることも極めて重要です」とも同氏は述べている。

リブラが正式に発表された6月18日以降、世界中のさまざまな規制・政府当局がリブラを精査する必要性を訴えている。

翻訳:町田優太 
編集:浦上早苗
写真:Facebook image via Shutterstock
原文:UK Regulators Want a Long Look at Libra, Admonish Facebook’s Mantra to ‘Move Fast, Break Things’