豪3銀行とIBM、商業物件賃借の管理でブロックチェーン活用

オーストラリアの大手3銀行は、ショッピングセンター運営の企業センター・グループ(Scentre Group)およびIBMと提携して、商業物件賃借用の銀行保証をブロックチェーンプラットフォーム「ライゴン(Lygon)」上で管理するテストを始めた。参加した銀行は、オーストラリア・ニュージーランド(ANZ)銀行、ウエストパック(Westpac)銀行、そしてコモンウェルス(Commonwealth)銀行。

2019年7月3日(現地時間)にローンチしたライゴンは、一部のセンター・グループの商業物件を賃借する顧客のデータやトランザクションを収集し、デジタル化する。

従来、銀行保証は、書面で発行され、1カ月ほどかかることもあった。しかし、ライゴンを使用することで、このプロセスを1日に短縮することができる。

また、IBMのプレスリリースによると、デジタル化することで、詐欺やミスが起きるリスクも軽減される。オーストラリアの小売業者の多くは、物件を賃借するために銀行保証書を必要としている。

試験的運用終了後、ライゴンはサービスの提供範囲を全ての(銀行保証)発行者、発行依頼者、受益者に拡大し、その他の用途にも展開する計画。

銀行保証に特化したブロックチェーンプラットフォームは、ライゴンが初めてではない。2017年にベラルーシの中央銀行が、この種のサービスにブロックチェーンを活用することを承認している。また、英大手銀行スタンダード・チャータード(Standard Chartered)も、ドイツ総合電機のシーメンス(Siemens)と提携して、貿易金融用の銀行保証をブロックチェーン上で管理する実証実験を2018年に行っている。

IBM、センター・グループ、ANZ銀行、ウエストパック銀行は2017年にも類似した実証実験を実施し、成功を収めている。同実証実験の報告書は、分散型台帳技術(DLT)ソリューションから得られる恩恵は、産業内で幅広く導入することによって最大化されるとしており、プロジェクトの「規模を拡大し、幅広い層の参加者と議論する必要がある」と結論付けている。

翻訳:町田優太
編集:浦上早苗
写真:Alex Cimbal / Shutterstock.com
原文:IBM, Top Australian Banks to Pilot Blockchain for Retail Lease Bank Guarantees