ビットコインに投資する政治家たち【オピニオン】

ビットコインに投資する政治家たち【オピニオン】

政府の財務部門をはじめとする様々な公共組織は、ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)に着実に好意的になっている。

ボラティリティの高いこの新しい資産クラスは、多くの場合資金が不足している政府に、巨額のリターンを獲得できるチャンスをもたらすのだ。リスクは自明だが、暗号資産界には、政府にとっては手を出さない方がリスクが高まると考える人もいるかもしれない。

リオデジャネイロの暗号資産投資計画

ブラジルの都市、リオデジャネイロは今月、市の準備金の1%を暗号資産に分配すると発表。税金をビットコインで支払う納税者には割引を適用し、外国から暗号資産リッチな個人や企業を誘致するために税法を改正することも計画している。

「リオデジャネイロがテクノロジーの中心地となり、ブロックチェーンテクノロジーを取り入れることは理にかなっている」と、同市の経済発展担当者チカオ・ブルホース(Chicão Bulhões)氏は語った。

ステーブルコイン(法定通貨などに連動する暗号資産)発行を手がけるトランスフェロ(Transfero)や、暗号資産ファンドのハッシュデックス(Hashdex)を筆頭に、リオデジャネイロで急成長するブロックチェーン業界はおそらく、ラテンアメリカでも最大規模のものだろうと、ブルホース氏は説明。

「未来はすでに始まっている。私たちもそこに参加したいと考えている」と、ブルホース氏は話す。

リゾート地のコパカバーナやイパネマビーチだけで、多くの人を呼び込むには十分と考えるかもしれないが、資本をめぐって、リオと似たような戦略を採用する都市や政府はいくつも存在する。

米政治家たちも続々と

リオデジャネイロが今回の計画を発表した「イノベーション・ウィーク」にも参加したマイアミ州知事のフランシス・スアレス(Francis Suarez)氏が、最初の1人だった。

スアレス知事は先日、ビットコインで給与を受け取り、優遇税制を提案。マイアミがビットコインを購入し、ブロックチェーンの「スタックス(Stacks)」で誰もがマイニングすることができ、マイアミの半公式ウォレットと個人が報酬を得ることのできる「マイアミコイン(MiamiCoin)」をローンチすることを約束した。

他にもいる。ニューヨーク市長のエリック・アダムス(Eric Adams)氏は、「ビットコイン市長」になると主張する。テネシー州ジャクソン市長のスコット・コンガー(Scott Conger)氏は、市庁舎の使われていない部屋をビットコインマイニングに使う方法を見つけようとしている。フィラデルフィア州の最高情報責任者マーク・ウィーラー(Mark Wheeler)氏も、暗号資産に大いなる関心を寄せている。

レシュマ・パテル(Reshma Patel)氏は先日、市の年金基金の「主要暗号資産」への投資を含む、念入りなブロックチェーン計画を掲げ、ニューヨーク市の次期会計監査官へ立候補した。

パテル氏は「ビットコインの供給量には上限が設定されており、投資家はインフレに対するヘッジを手にできる。さらなる経済刺激策が必要となれば、インフレ率は上がり続けるかもしれない」とした上で、「現在、そして将来的なインフレへの懸念は確かなもので、だからこそテスラやスクエアなど、世界でも最も先見の明のある企業が、手元資金の一部をビットコインに投資しているのだ」と、同氏は政策提言の中で主張した。

先手必勝?

パテル氏は次期会計監査官には選ばれなかったが、彼女のような考え方は広まっている。暗号資産的なコミュニティ思考の染み付いた暗号資産投資家たちは、「ゲーム理論だ」と感じるかもしれない。

すべての政府は、すべての人と同様、いつの日か暗号資産が広範に普及したら、暗号資産を保有しなければならない。広範な普及は確実なので、今のうちにはやく動いた人や組織が、最も恩恵を受ける。未来の通貨が、今セールでお買い得なのだ。

このような考え方の特筆すべき例の1つは、大物投資家・キャシー・ウッド(Cathie Wood)氏が率いるアーク・インベストメント・マネジメント(ARK Investment Management)だ。同ファンドでは、国民国家への「普及」を主な理由として、ビットコイン価格が2030年までに100万ドルを超えると予想している。

これは、「ホドラー(長期保有者)」向きの考え方だ。ビットコインは現在のところ、使用するのには明らかに優れていない。ボラティリティは高く、高価で、何よりもデフレ的、つまり今日売却するか他の何かと交換してしまうと、後にはるかに値上がりした時に後悔するかもしれない、ということだ。

ビットコインは2100万コインと供給上限が設定されているため、需要が高まれば、価格も上がる。経済学の基本だ。

だからこそビットコインの大口保有者で、マイクロストラテジー(MicroStrategy)CEOのマイケル・セイラー氏は、ビットコインを「通貨」とは呼ばず、急速に価値を高めるデジタル資産と呼ぶように気をつけているのだ。マイクロストラテジーは2020年、資産の一部をビットコインに分配した初の上場企業となって話題をさらった。

多くはないが、いくつかの企業が後に続いた。エルサルバドル政府はビットコインを法定通貨として採用し、同国大統領は国庫資金を使って、ビットコインを購入している。

今後の動きに注目

最も分散化され、これまでのところ最もレジリエントな元祖暗号資産のビットコインが、公共機関の投資先としてますます魅力的になってくるという主張は確かに可能だ。スマートなマネーはそこに向かっているのだ。金(ゴールド)は、インフレヘッジになるというその約束を果たしきれていない。

民主主義支持者として私は、すべての政府には国民の声に基づいて決定をして欲しい。それがビットコインを買うことであれ、禁止することであってもだ。しかし、投資、あるいは損失さえも合理的に説明できたとしても、暗号資産はリスクを伴うことを覚えておくのが重要だ。

都市が暗号資産の世界に進出していくとしたら、政府が資金をどこに割り当てるのか、いつその資産を手放すのかに注目することが大切となる。

リオデジャネイロによる1%の投資は堅実で、すべてを賭けることなく、予期せぬリターンを得られる可能性のある方法だ。

「ウェブ3についての話であり、人々が支払いをしたり、税金を収めたり、投資をする方法の新しい革命についての話なのだ」とブルホース氏は言う。「誰にとっても新しいものだ。私たちにとっても」

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:Watch Out for the Pols Bearing Crypto

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