【US市場】ビットコイン、再び4万ドル割れ

ビットコイン(BTC)をはじめとする暗号資産(仮想通貨)市場は10日、前日の上昇から一転して、不安定な推移となり、トレーダーや投資家が確信を持てない状況であることを示した。

投資家は、地政学的な不確実性に神経質になっている。ロシアのウクライナ侵攻後に初めて行われた両国の外相による会談は、進展はなかったと伝えられた。

マクロ面では、欧州中央銀行(ECB)が9月までに債券購入を段階的に終了させると発表、金利上昇につながる可能性がある。サクソバンク(Saxo Bank)の外国為替戦略責任者ジョン・ハーディ(John Hardy)氏は10日、この発表を「ゲームチェンジャー」と表し、各国の中央銀行は金融引き締め政策でインフレ対策に取り組む動きが強まっており、投機資産に重くのしかかる可能性があると指摘した。

株式はわずかに下落、一方、ゴールドや米ドルといった伝統的な安全資産は上昇した。

アルトコインはビットコインと比べると、売り圧力が小さかった。イーサリアム(ETH)は過去24時間、ビットコインの6%下落に対し、3%下落となった。

最新価格

●ビットコイン:39,560ドル、-5.40%
●イーサリアム:2,616ドル、-2.77%

●S&P500:4,260、-0.43%
●ゴールド:2,002ドル、+0.81%
●米国10年債利回り:2.01%

相関関係の変化

ビットコインのS&P500の相関関係は、世界中の資産のボラティリティが上昇していることもあり、この1年、上昇していた。通常、ボラティリティの上昇はインフレ率の上昇を伴い、特に株式と債券の相関関係を高める。

投資家は市場にストレスがかかると、リスク資産への投資を減らす傾向がある。S&P500とビットコインの相関関係の上昇は、投機的資産からの資産の移行を示している可能性がある。

しかし今回は、インフレが加わっている。伝統的なインフレヘッジであるコモディティは、インフレサイクルが始まると上昇する傾向がある。そのため、ビットコインとコモディティの相関関係はここ数カ月で崩れ、より正常なレベル(相関ゼロ)となった。

2020年3月の下落後に投機資産に対する需要が急増し、現時点ではマクロ経済環境の影響で投資家はリスク資産への投資を解消している。株式と暗号資産にとっては、リターンが低下する時期となる可能性がある。

ビットコインとS&P500、ビットコインとコモディティの相関関係(CoinDesk、Koyfin)

アルトコイン

●二酸化炭素排出権のブロックチェーン市場:JustCarbonとLikvidiは、それぞれブロックチェーンを使った二酸化炭素排出権の取引プラットフォームを発表した。排出量の取引で、二酸化炭素排出量の削減を可能にするという。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
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|原文:Market Wrap: Bitcoin Stuck Below $40K, Altcoins See Less Selling Pressure