日本企業がメタバースに熱視線──ドコモ、サイバーA、凸版、パーソル、コインチェック…

Meta社(旧Facebook)を中心に組織化したメタバースエキスポジャパンは7月27日、東京・六本木のホテルで「METAVERSE EXPO JAPAN 2022」を開催し、ソフトバンク、NTTドコモ、サイバーエージェント、凸版印刷、コインチェックなどの日本企業が参加した。

2日間にわたって行われるMETAVERSE EXPOは、登壇者がメタバース(仮想空間)のユースケースや可能性などを議論するカンファレンスと、参加企業がブースを構えてそれぞれが開発するプロジェクトなどを展示するエキシビジョンの2つで構成される。

印刷会社もメタバース

(写真:凸版印刷の出展ブース/coindesk JAPAN)

凸版印刷は、メタバースとリアルを融合した買い物体験ができるスマートフォンアプリ「Metapa」を中心に開発しているプロジェクトを展示。また、ブース内にある「MetaClone」を利用すると、訪問者が自身のアバターを作成することができる。

(写真:凸版印刷が展示したMetaClone/coindesk JAPAN)

AI(人工知能)を搭載したMetaCloneの前に立ち、ユーザーのポートレート写真を撮影すると、1分も経たないうちに自身のアバターが画面に映し出された。作成されたアバターは、他のメタバース内で利用することができるという。

(写真:MetaCloneで作成したアバター)

メタバースで働く環境を作るパーソル

人材派遣・採用支援サービスのパーソルホールディングス(PERSOL)は、人がメタバースで働くことことができる環境整備を進めている。

パーソルグループ傘下のパーソルマーケティングが運営するメタバースの「GAIA TOWN」には、利用者はどこからでもアクセスすることができる。今後、GAIA TOWNでモノやサービスの売買や企業の活動が広がっていけば、人がメタバースで働く機会は増えていく。

(写真:パーソルが展開するメタバース「GAIA TOWN」)

365日24時間オープンしているメタバースであれば、これまでリアルの社会で働くことが困難であった人が雇用機会を得ることができる。

パーソルのブースでは、GAIA TOWNの様子が大型モニターに映し出された。メタバースの受付に立つアバターは、実際には都外に住む子育て中の女性だという。ブースからGAIA TOWNに入ると、受付のアバターが応答し、彼女の声がスピーカーから聞こえてきた。

大型資金調達したHIKKYはどう予想する

世界最大のVRイベント「バーチャルマーケット」を運営し、昨年に行ったシリーズAラウンドでは65億円の大型資金を調達したのはHIKKY。ユーザーがコンテンツを作成する、いわゆるUGC型のバーチャルマーケットは、100万人を超える来場者が参加し、国内の多くのトップ企業が参加する。

HIKKY・代表取締役の舟越靖氏は27日、カンファレンス会場でメタバースにおけるビジネスの可能性について説明した。メタバースは、インターネットの変革期と同等以上の巨大な経済圏を形成していくとした上で、「一人一人が自分のメタバース空間を保有できる『1人=1メタバース』の時代が来るだろうと考えている」と述べた。

舟越氏は、世界のメタバース市場規模は2、3年で100兆円に達すると予想する。

ガートナーが今年2月にまとめたレポートによると、2026年までに世界の4人に一人が、毎日少なくとも1時間はメタバースで過ごすことになるという。メタバースにおける滞在目的については、労働や買い物、教育、ソーシャルネットワーキング、余暇をあげている。

また、ガートナーの予測では、メタバースによって作られる未来の仮想経済では、ブロックチェーンを基盤とするNFT(非代替性トークン)や暗号資産などのデジタル通貨が大きな役割を果たしていくという。

コインチェックはブロックチェーン型メタバースで都市開発

(画像:メタバース「Otherside」でコインチェックが制作する土地のイメージ/コインチェックの発表文より)

ブロックチェーンを活用するメタバースにおいて、都市を開発するプロジェクトを進めているのが、暗号資産とNFT取引サービスを手がけるコインチェックだ。同社はこれまでに、メタバースゲームの「The Sandbox」で「Oasis TOKYO」を、同じくメタバースゲームの「Decentraland」で「Oasis KYOTO」の制作を開始している。

The Sandboxでは暗号資産の「SAND」が利用され、DecentralandのトークンはMANAが使われている。

コインチェックは27日、メタバースのOthersideに「Oasis MARS」と名づけた都市を制作すると発表。メタバースとNFTを組み合わせたユーザー体験の創造を加速させる。

Othersideは、世界的に人気を集めたNFTコレクションの「Bored Ape Yacht Club(BAYC)」を手がけるYuga Labsと、NFTなどのデジタル資産領域で投資を行うアニモカブランズ(Animoca Brands)がプロデュースするメタバース。

|取材・編集:佐藤茂
|トップ画像:METAVERSE EXPOでJAXAが開いた展示ブース