暗号資産業界のデート事情【コラム】

暗号資産業界のデート事情【コラム】

「クリプト系の男と付き合うことはもう絶対ない」

ウェブ3スタートアップ創業者の男性との7カ月の交際に終止符を打った、ニューヨーク在住のソフトウェアエンジニアは語る。

「暗号資産(仮想通貨)アプリケーションについてしっかり理解していないにも関わらず、『ベストな』アプリケーションについて強い持論を持った人物」と定義される、典型的な「クリプト支持者」は、傲慢(PRIDE)、貪欲(GREED)、邪淫(LUST)、嫉妬(ENVY)、貪食(GLUTTONY)、憤怒(ANGER)、怠惰(LAZINESS)という7つの大罪のうち、少なくともいくつかを犯しているはずだ。

本当にリッチになるのではなく、リッチに見せかけることを目指してばかりいるので怠惰。コインが「月に届くほど高騰」する話ばかりしてするほど貪欲。パーティーの場で無料のオープンバーでいつでも飲み過ぎる貪食な20代のパーティー好き。

ツイッターではひっきりなしにケンカを始め、憤怒に取り憑かれている。お気に入りの有名人がひっそりとプロフィール画像を猿の絵に変えたのを見て、何十万ドルも出して買ったNFTを現代アートと呼び、自慢げに自宅に飾っているから傲慢。

確かにこのような「罪」は、あらゆる業界のどんな人間にも見られるが、暗号資産の世界では、なぜこれほど目立つのだろうか?

当記事では、ソフトウェアエンジニア、女優、ベテランの暗号資産トレーダーの女性3人が、暗号資産界の男性と交際した経験を語ってくれた。

父親のお金で出張に出かけるウェブ3起業家

前述のソフトウェアエンジニアの女性は、アメリカの名門大学を中退し、ウェブ3スタートアップを創業した男性と出会った。彼女は「気軽なビジネスミーティング」のつもりだったが、彼はデートだと思っていた。そこから、付き合いが始まったのだ。

男性は魅力的でカリスマもあり、何よりも、投資家たちに愛されていた。

「彼は投資家候補者たちとの豪華なイベントにたくさん招待されていた」と女性は語る。しかし、そのようなイベントはいつも、直前に知らされるもので、彼女が同伴することはなかった。テキサス州オースティンやプエルトリコ、アトランタで開催されることが多く、ヨットの上でのパーティーが常だった。

男性はしょっちゅう出かけなければならないのを、気にしていないようだった、と女性は話す。このような「出張」には、事実上のエンジェル投資家である男性の父親がお金を出していた。

「彼の父親は、彼が復学して、企業に就職することを心から望んでいた。そのせいで、2人の関係はかなり緊張感のあるものだった」と、女性は振り返る。

9時5時の仕事をして、暗号資産に関する経験はほとんどゼロの女性にとって、男性の歪んだ金銭感覚や、彼が給与を得る仕事をしたことがないという事実は、理解しにくいものだった。さらに、「彼はとても安い服を着ていた。着るものにまったく無頓着だった。それが、力を持っていることを誇示するためのやり方」だったらしい。

交際が終わりを迎える頃には、男性の会社は信じられないほどの評価額となっていた。しかし男性は、新しいスタートアップを始めるためにその会社を捨ててしまった。同じ頃、2人の関係も終わった。

「クリプト系の男性とはもう2度と付き合いたくない」と、女性は語った。

7カ月の交際と多くの後悔を経て、女性は暗号資産に携わる男性について学んだことがある。実際よりも自分の功績を多く見積もって、そのことにプライドを持ち、自らが元々恵まれていることを認めようとしないのだ。

「やり手のメンター」気取りの既婚男性

24歳でニューヨーク在住の女優兼ウェイトレスの女性は、パンデミックの最中に、「成功者」のための出会い系サイトseeking.comで出会った男性とやり取りを始めた。男性はすぐに彼女のCashAppのアカウントを聞いてきたので、彼女は彼がボットだと思っていた。

しかしCashAppのアカウントに実際に1500ドルが送金されたため、ニューヨークで会ってみることにした。40代の既婚男性だった。

メリットは明らかだった。10品目のコースディナーに、デートのたびに渡される現金500ドル。そして、現金よりもさらに良いものをあげると提案された。ビットコイン(BTC)だ。

「あまりよく知らないと思うけど、私は詳しいんだ。君にとっても価値あるものになると思うよ」と、男性は話したという。

「いまだに、どうやって彼がお金を稼いでいたのかよくわからない」と女性は語ったが、男性が中国によく電話をしていたのは知っている。

seeking.comに集まるパパ活の「パパ」たちは特に、クリエイティブ業界の女性に興味を持っていると、女性は語った。「彼らの多くは(中略)叶わなかった夢のようなものを持っているから」だ。

この男性は、彼女にビットコインや暗号資産について教えてあげる「やり手のメンター」になりたがっているようだった。妻に秘密にするために暗号資産を渡そうとしていたのではなかったと、女性は説明する。彼女の将来に投資したいと考える男性の「とても父親的な行為だった」のだ。

「暗号資産をあまりよく理解していない私は(中略)、そんな架空のお金は欲しくない。お金が欲しい、今欲しいの」と彼女は語った。

結局のところ、男性の方がより親密な関係を望み、彼女はそれに応えたくなかったため、彼女から関係を絶った。ビットコインを受け取ることは、結局一度もなかった。

弱腰の投資初心者に見切り

暗号資産の知識豊富な女性にとって、ドルコスト平均について語る新参者のクリプト愛好家と付き合うのは最悪だ。

42歳のヘアメイクアーティストの女性は、強気相場で暗号資産を取引し、多額の利益を出した。彼女は、キャピタルゲイン税のかからないプエルトリコのビーチで、夢の生活を満喫している。

女性は2016年、コインベースで1000ドル相当のビットコインを購入した。当時の恋人が、初期に暗号資産に投資しなかったことを「心から後悔」していたため、遅すぎることはないと証明したかったのだ。

しかし、「彼が自分で投資に参加することはなかった。私がすべてのリスクを背負って、彼がそれを無責任だと非難するのを聞かされた」と女性は振り返る。

最終的に、チャンスを逃したと後悔していた男性の説得で、彼女は損失を出してそのビットコインを売却。「本当にがっかりさせられたわ。もう彼と別れるしかなかった」と、彼女は語った。

お金に関する価値観がパートナーと合わない時、その関係は絶望的と、彼女は考えている。

それから2度の強気相場を経て、女性は楽しいお金の未来に夢中な人たちでいっぱいの、「暗号資産の安息地」にたどり着いた。

しかし、プエルトリコの暗号資産コミュニティは小さいもので、デートで暗号資産を話題にしたい人を「小馬鹿にする嫌な女」では、すぐに悪評が広がってしまう。

例えば、女性は、全財産をミームコインに注いだ男性とのデートで「本当にそれでいいの?」と聞くのを堪えた。「パートナーとして、将来的に彼がどんな人間になるのかは想像できた。信頼して真剣なお付き合いができるとは思えなかった」と、彼女は語った。

最悪なのは、ドルコスト平均について説教する暗号資産初心者だ。

「熟練者として心の中で、『今に見ていなさい。私たちのように、泣きを見る日がすぐに来るから』と思っていた」と、彼女は語った。

そして彼女の予感は的中した。しかし、泣きを見たのは自分だった。

暗号資産レンディングのセルシウス・ネットワークで、10万ドル強のローンを借りて、返済できなくなったのだ。暗号資産市場全体が混乱に陥る中、彼女は「動けなく」なり、投資を続行できなくなった。

ありがたいことに、暗号資産関連の集まりで出会ったヘッジファンドマネージャーが、返済に手を貸してくれた。彼は「お金を受け取って、それを数年運用して、返済してくれれば良い」と言った。

女性は、その男性に返済するために、イーサ(ETH)を買って、しっかりと保有している。

暗号資産やウェブ3業界での出会い

典型的なクリプト愛好家が犯すこれらの「罪」は、とても浅薄なものに思える。

「かつてはアクセスできなかったものにアクセスできるようになって、それを最大限活用している人たちがたくさんいる」と、v1という名前で活動するデート用自律分散型組織の創設者は語る。「表面的な富の誇示(中略)という大きな偽りが存在している」

暗号資産やウェブ3に携わる男性と交際することの本当の魅力は何だろうか?

投資プラットフォーム「イートロ(eToro)」が2022年に実施した調査によると、回答者の33%が、マッチングアプリのプロフィールで暗号資産に言及した人とデートしても良いと回答。暗号資産を扱う企業の調査としては、当然の数字である。ちなみに、その人に興味を失うマイナスポイントとなると回答したのは、わずか20%だった。

「暗号資産業界は、ソーシャルメディアでとても派手に振る舞っているから」暗号資産のネガティブな側面がよく目立つのだと、v1は指摘。

ウェブ3は、ウェブ2でのアイデンティを捨て去ることを、暗号資産は、オンラインでのアイデンティティを重視している。暗号資産関連のツイッター界というコミュニティ全体に向けて、自分の意見を大声で発信していれば、その意見はますます自らを侵食していくことになる。

ますますデジタルになっていくアイデンティティは、必ずしも悪いものではない。v1は、出会いや交際をより安全で、気軽なものにしてくれると考えている。

「いかにもクリプト愛好家みたいなことを言わせてもらうが、人に惹かれるというのは、互いにゼロ知識だ」とv1は冗談めかして言った。

受け手と受け取り手の身元が重視されない、あるいは必要とされないピアツーピアの取引を実現するビットコインの精神と同じように、現在の出会いの世界において、年齢、見た目、家系などは本当に大切だろうか?

暗号資産業界のカンファレンスや集まりによって、人々はより寛容で柔軟になっていると、v1は語る。

「例えば、5年間ある人とオンラインでやり取りしたり、フォローしたりしてきたけれど、バルセロナのカンファレンスで初めて直接会うといったこともある。従来のアイデンティの要素とは関係ないところで理解して、お気に入りのNFTや、その時に熱心になっているコインからその人を知ろうと努力できるようになるのだ」と、v1は語った。

「暗号資産ほど、人と気軽に知り合える業界はない」と、v1は考えている。

|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂
|画像:Shutterstock
|原文:‘I Would Never Date a Crypto Guy Again.’ What Women Say About Dating in Crypto

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