ビットコイン、2万9000ドル近くまで急落──バイナンスで大規模な売り注文発生の後

ビットコイン(BTC)はヨーロッパ時間の4月19日朝に、わずか15分で3%以上も下落し、この時価総額で最大の暗号資産(仮想通貨)は3万ドルを下回った。米CoinDeskのデータによると、さらなる下落で2万9000ドル近くまで下がったという。

この売りは何か根本的な理由に起因するようには見えなかったが、暗号資産取引所バイナンス(Binance)から発生した巨大な売り注文と、10%を超える予想外の高いイギリスの3月のインフレ数値が、市場心理に影響を与えた可能性がある。

また、いわゆるロングスクイーズもある。2500万ドル(約33億7000万円)以上のビットコイン先物が清算されたが、そのうちロング、つまり価格上昇に賭けるポジションが98%を占めていた。

「予想以上に高いイギリスのCPI(消費者物価指数)は、BTCを含むリスク資産の重しになったかもしれない。しかし、この反応は他の資産クラスよりもはるかにはるかに厳しいものだ」とK33リサーチのアナリスト、ベトル・ルンデ(Vetle Lunde)氏は米CoinDeskに語った。

「これはどちらかというとレバレッジ・ウォッシュアウトのようだ。BTC/USDTの現物に対するバイナンスのオープン・インタレスト(未決済建玉)は15分で5.1%下落し、BTCよりも清算量の大きいETHではより深刻な影響を及ぼした」とルンデ氏は述べた。オープン・インタレストは先物市場における契約の総数を指している。

クリプトツイッターの著名なトレーダーである@52kskew氏は、現在の価格で4億6700万ドル(約629億5500万円)以上に相当する1万6000BTCの売り注文が突然の下落に先立って行われたことから、そこからロングスクイーズが始まった可能性があると指摘した。

「1万6000のBTCは、バイナンスのスポット市場で売却されるには珍しいサイズだ。通常、この種の売却は悪いニュースが出る前に起こる」と@52kskewはその後のツイートで見解を述べている。

清算とは、取引所が証拠金の一部または全部の損失により、トレーダーのレバレッジをかけたポジションを強制的に閉じることを指す。投資家がレバレッジをかけたポジションの証拠金要件を満たすことができず、取引を継続するための十分な資金がない場合に起こる。

大規模な清算は、急な値動きの局所的な頂点または底を知らせることがあり、トレーダーはそれに応じてポジションを取ることができる。

このスライドは、より幅広い暗号資産市場の売りにつながり、イーサリアム(ETH)、ポリゴン(MATIC)、ドージコイン(DOGE)は過去24時間で5.3%下落し、ソラナ(SOL)は9%近く下落した。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
|原文:Bitcoin Drops to $29,000 in Sudden Sell-Off; Longs Are 98% of Over $160M in Crypto Liquidations