SECがトークンを証券と見なしてもDeFiは動じない──ロックされたバリューは横ばい

アメリカ証券取引委員会(SEC)が有価証券とみなすトークンのブロックチェーン上で動作する分散型金融(DeFi)アプリケーションにロックされたバリューは、進行中のドラマにもかかわらず、ほぼ安定したままだった。

急激な資本逃避がなかったことは、価格の下落にもかかわらず、世界の市場参加者のポジティブなセンチメントを示唆している。バイナンスコイン(BNB)は6月7日に6カ月ぶりの安値をつけ、ソラナ(SOL)、カルダノ(ADA)、ポリゴン(MATIC)、その他のトークンの価格も暴落した。

6月5日と6日に、SECはバイナンス(Binance)とコインベース(Coinbase)を国内で無認可の証券を販売したとして提訴した。

この告発は、暗号資産(仮想通貨)が証券とみなされるかどうかについて、規制当局が明確にしていないにもかかわらず行われた。SECはトークン発行者に公式な法的定義を与えておらず、明確なルール作りを求めるコインベースからの請願に応えていない。

DeFiは、少なくとも7日の時点では、動揺していない。データによると、カルダノ、ソラナ、BNBチェーンの各ネットワークにロックされた価値は、過去1週間で5%強減少し、これは市場全体の減少と一致している。データによると、こうした減少率は月間では1%強にとどまっている。

DeFiエコシステム全体でロックされたバリューの変化。(DeFiLlama)

DeFiは引き続きレジリエンスを保っている

一部の市場オブザーバーは、DeFiアプリケーションからの資本の欠如は、現在の情勢を支配する市場参加者のタイプを示唆しているとの見解を示した。

暗号資産運用会社アルカ(Arca)のトレーダーであるカイル・ドーン(Kyle Doane)氏は、米CoinDeskへの電子メールで、「長い暗号資産の冬が終わり、大多数の『観光客』はすでにこの空間を去ってしまった」と語っている。「残りの参加者は、より熱心な信者である可能性が高く、したがってSECからのアクションの影響を受けにくい」。

そして「トークン自体が証券とみなされることは、DeFiの基礎技術の実行可能性とは無関係であり、トークンやアプリケーションの価値が上がることも下がることもない。これらの圧力は、おそらくDeFiへの金融活動をさらに促進するだけだろう」とドーン氏は付け加えた。

暗号資産分析会社ナンセン(Nansen)のアナリストであるマーティン・リー(Martin Lee)氏は、このセンチメントを共有した。「ポリゴン、ソラナ、BNBチェーンのユーザー数やトランザクションに大きな変化は見られず、過去1カ月間とほぼ同様の水準にとどまっている」とリー氏は述べた。

「個人的な見解としては、規制が実施され、これらのトークンが正式に証券として分類されるまでは、エコシステムに大きな影響を与えることはないと考えている」と彼は付け加えた。

アメリカでMATICが証券として分類されたことを受けて、ポリゴンネットワークで突然の引き出しが発生したが、長期的な分析に基づくと、その量は依然として穏やかであると、分析会社CryptoQuantの研究責任者であるフリオ・モレノ(Julio Moreno)は述べている。

「ポリゴンネットワークからイーサリアムネットワークへの撤退という観点から見ると、グラフが示すように、SECがMATICは証券だと言及した後、急増があった」とモレノ氏は、6日に250万ドル(約3億5000万円)の撤退があったことを指摘した。

「しかし、歴史的な観点から見ると、これらの引き出しの量は依然として少ないままだ」と彼は付け加えている。

(CryptoQuant)

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CryptoQuant)
|原文:DeFi Unfazed by SEC’s Classification of Tokens as Securities