zkSync Eraにロックされたバリューは5億ドルを突破──1週間で12%増加

マターラボ(Matter Labs)のzkSync Eraは、イーサリアムのスケーリングを目的としたゼロ知識(ZK)ロールアップで、活発なペースで資本を集め続けている。

L2Beatのデータによると、zkSync Eraのロックされた価値の総額(Total Value Locked:TVL)は6月19日に5億ドル(約709億円)を超え、1週間で12%の増加を記録した。TVLは、分散型金融プラットフォーム上にロックまたはステークされた暗号資産(仮想通貨)の総価値を追跡するために広く使用されている指標だ。

zkSync Eraは、ネイティブアカウントの抽象化を確保しながらイーサリアム仮想マシン(EVM)の互換性を維持するもので、すでにアービトラム(Arbitrum)とオプティミズム(Optimism)に次いでロックされた総価値で3番目に大きなロールアップだ。

zkSync EraのTVLが5億ドルを超えて過去最高を記録した。(L2Beat)

記事執筆時点では、3億7830万ドル(約536億7000万円)相当の22万イーサリアム(ETH)、約1億2100万ドル(約29億8000万円)相当のUSDコイン(USDC)、753万ドル(約10億7000万円)相当の1443万MUTEがzkSyncにロックされている。MUTEは、zkロールアップベースの分散型取引所であるMuteのネイティブトークンだ。

1日のアクティブアドレスは5月から着実に増加し、過去4週間で平均17万5000となっている。zkSyncは2023年3月にローンチされた。

最近、リキッドステーキングソリューションのロケットプール(Rocketpool)がzkSync Eraで稼働を開始し、レイヤー2プラットフォームに移行する分散型アプリケーションのリストに加わった。暗号資産投資会社ギャラクシー・デジタル(Galaxy Digital)によると、このユーザー需要の増加は、イーサリアム開発者がイーサリアム改善提案(EIP)4844の実装に注力していることが背景にあると思われる。

EIP4844は、データの「ブロブ」を受け入れ、ロールアップのトランザクション手数料を削減する新しいトランザクションタイプを導入するものだ。

ギャラクシー・デジタルのリサーチ責任者アレックス・ソーン(Alex Thorn)氏は、6月2日付のニュースレターで、「イーサリアムが今年の秋か来年の冬に予定している「カンクン(Cancun)」「デネブ(Deneb)」アップグレードの主要コード変更としてEIP4844が優先されたことは、イーサリアムの長期的スケーラビリティに対するロールアップとイーサリアムで作られたDapps(分散型アプリケーション)の重要性を裏付けるもので、最終的には業務の大部分をよりコスト効率の高いロールアップに移行するだろう」と述べている。

なお、スタークネット(StarkNet)やPolygon zkEVMのような他のZKロールアップの活動も活発なままだ。ZKロールアップが他の市場セクターを大きく上回るという意味で「Zkシーズン到来」と言う観測筋もいる。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:L2Beat
|原文:Ethereum Layer 2 Network zkSync Era’s Locked Value Surpasses $500M