急上昇のビットコイン、3万100ドル超えで小休止──投資家はETFの見通しとマクロ経済データに注目で

資産運用大手ブラックロック(BlackRock)がビットコインETF(上場投資信託)を申請したことでビットコイン(BTC)は2日続けて上昇したが、現在は小休止している。

金融サービス大手が相次いでビットコインETFを申請

ビットコインは本記事執筆時点で約3万180ドル、24時間前にはブラックロックを含め3社がビットコインETFを申請したことで投資家には楽観的な見方が強まっていたが、その時点から価格はほぼ動いていない。

ビットコインは22日午前中、暗号資産カストディ(管理・保管)を手がけるビットゴー(BitGo)が競合のプライム・トラスト(Prime Trust)の買収中止を発表した後、一時2万9575ドル付近まで下落。1週間を通して堅調だった上昇が止まった形だが、すぐに大台を回復した。

中央銀行の動向も影響

大手FX事業者オアンダ(Oanda)のシニア・マーケットアナリスト、エドワード・モヤ(Edward Moya)氏はCoinDeskに対し、インフレ抑制のための中央銀行の対策とそれが景気拡大に及ぼす影響についての懸念が高まる中でも、最近の暗号資産には勢いがあることを強調した。

「世界中の中央銀行の金融引き締めが新たな段階に入ったことで、ウォール街はグローバルな成長見通しに関して少し悲観的になりつつある。これにより突然、暗号資産の魅力が少しだけ高まった」と指摘。しかし慎重に、現在の暗号資産の上昇傾向が衰える可能性を示唆した。

「勢い買いが始まるには、ビットコインが主導して今後数日間で上昇をより加速させる必要がある」

主要暗号資産は軒並み上昇

イーサリアム(ETH)も、ビットコインと同様の値動き。ビットゴーによる買収中止の発表付近で下落したが、その後は21日に記録した6月初旬以降の高値1900ドル付近まで盛り返した。直近のイーサリアムは数%上昇している。

他の主要暗号資産の多くも、前日ほど劇的ではなかったが、上昇した。カルダノ(ADA)、ポルカドット(DOT)はそれぞれ2%、1%以上上昇した。

暗号資産市場全体のパフォーマンスを測定するCoinDesk Market Index(CMI)は0.2%上昇。

米株価指数はまちまちで、ハイテク株の比率が高いナスダック総合指数とS&P500はそれぞれ0.8%、0.2%上昇したが、ダウ平均は若干下落。他の中央銀行がハト派姿勢を取るなかで、イングランド銀行は 0.5%の大幅利上げを発表したが、投資家はこれを無視したようだ。イギリスのインフレ率は5月、8.7%と高止まりしている。

また、暗号資産市場は、今年後半の利上げ意向を改めて表明したFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長のタカ派的コメントにもほとんど影響を受けていないようだ。 FRBは今月初め、1年以上にわたって続けていた利上げを停止していた。一方、毎週発表される失業保険申請件数の最新データは予想をわずか数千件上回っただけで、市場への影響はほとんどなかった。

ETF申請で流れが変わる可能性

分散型金融(DeFi)インフラを提供するマーベリック・プロトコル(Maverick Protocol)の最高技術責任者(CTO)、ボブ・バクスリー(Bob Baxley)氏は「わずか1週間ほど前には私たち全員が認識していなかった方法で、デジタル資産業界を前進させる可能性が高い状況の変化」とCoinDeskに述べた。

バクスリー氏は「ブラックロックなどによる申請のいずれかで、ビットコインETFが承認されることはほぼ確実。伝統的金融業界の大手企業の多くが、全般的にデジタル資産業界への参入を望んでいることは明らか」と指摘。今後数カ月のうちにイーサリアムがどのようなパフォーマンスを発揮するかにも興味が向けられるだろうと述べた。

バクスリー氏は、増え続ける機能に注がれる膨大な量の開発者の活動を考慮すると、イーサリアムエコシステムには非常に多くのエネルギーが存在すると述べ 「もちろんDeFiとNFTだけでなく、膨大な数の新しいアプリケーションやレイヤー2が猛スピードで構築されている」と述べた。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林理南
|画像:ビットコインの日足チャート(CoinDesk Indices)
|原文:Bitcoin Bobbles, Then Returns to Perch Above $30.1K as Investors Weigh ETF Prospects, Macroeconomic Data