「ブラックロック・ピボット」続く──ビットコイン、価格も取引高も上昇
  • ブラックロックのETF申請はビットコインの価格下落を完全にストップさせた。
  • ビットコインは買われすぎ状態にあるが、これは歴史的に見て価格にプラスになる。

ビットコイン(BTC)には複数のテクニカル指標で強気シグナルが出ている。「ブラックロック・ピボット」(ブラックロックのビットコインETF申請によるビットコイン価格の反転)は7日目に伸びた。

投資家にとって問題は、これが長期的な変化なのか、それとも再び下落に転じる前の短期的な調整なのかだ。

4月以来の高値に到達

ビットコインは21日に7%以上上昇。今年4月以来の高値で、心理的に重要な水準である3万ドルを突破した。2日連続でボリンジャーバンドの上限を突破し、強気のシグナルとなった。

ビットコインの取引高は3日連続で20日移動平均線を上回り、ドミナンス(暗号資産の時価総額全体に占めるビットコインの割合)は51.6%に達した。

上昇は、2023年の暗号資産において、おそらく最も重要な2つの出来事に続くものだ。

1つ目は、米証券取引委員会(SEC)が6月5日に大手暗号資産(仮想通貨)取引所のバイナンス(Binance)を、6日にコインベース(Coinbase)を相次いで提訴したこと。

2つ目は、先週、世界最大の資産運用会社ブラックロック(BlackRock)がビットコインETF(上場投資信託)を申請したこと。

SECの提訴により、ビットコイン価格は2日間で5%、4月に始まった下落は16%に達した。だが、ブラックロックのビットコインETF申請で状況は180度転換。発表によって1.3%、その後さらに17%上昇した。

ブラックロックのETF申請は転換点か

次に何が起こるかは注目に値する。ブラックロックのETF申請は、2023年の暗号資産、あるいはそれだけにとどまらない、重要な転換点となるかもしれない。特筆すべき点は以下の3つ。

  • ブラックロックの参入で、ビットコインの風評リスクが改善する。世界最大の資産運用会社が暗号資産の取り組みを拡大することで、ビットコインのメリットを否定することは難しいものになる。
  • ブラックロックのETFが承認されると、マーケットには大規模な買い手が追加される。ETFはビットコインを購入する必要がある。
  • 申請が承認されると、他の大手資産運用会社による同様のプロジェクトにとってのフレームワークとなり、申請が成功する可能性がある。ETFとは関係ないが、フィデリティ・デジタル・アセッツ(Fidelity Digital Assets)やチャールズ・シュワブ(Charles Schwab)などが支援した暗号資産取引所の開設や、ドイツ銀行の暗号資産カストディ事業計画の発表は、TradFi(伝統的金融)の暗号資産への参入が徐々に進んでいることを示す新たな証拠となっている。

買われすぎからさらに上昇も

価格上昇でビットコインの相対力指数(RSI)は70を超えた。これは従来、対象となる資産が「買われすぎ」状態にあるサイン。しかし、歴史的にビットコインには当てはまらない。

2015年以来、ビットコインのRSIが70を超えたことは7万416回。その後30日で価格は13.5%上昇している。2015年以降にRSIが72〜74のレンジにあった65回では、価格は12.9%上昇した。

比較すると、70以上のRSIが測定された後のイーサリアム(ETH)のその後の30日の上昇率はわずか3.3%。つまり、たとえテクニカル的には買われすぎの状態でも、ビットコインは長期にわたって上昇する傾向があることを示している。

一方、歴史が繰り返されるとは考えていない弱気投資家は、ビットコインの20日移動平均線と一致する2万7000ドルを目標価格として見ているかもしれない。

しかし、ブラックロックの発表の重要性、取引高の増加、買われすぎの際のビットコインの傾向などから、弱気投資家の予想は覆されるかもしれない。

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:林理南
|画像:2015年からのビットコイン価格(CoinDesk)
|原文:‘BlackRock Pivot’ Continues, as Bitcoin Rises on Increased Volume