メタ、自社ゲームスタジオ設立──メタバース、てこ入れ
  • メタ社は、新しい社内VRゲームスタジオ「Ouro Interactive」で、メタバースプラットフォーム「Horizon Worlds」のてこ入れをしようとしている。
  • メタバースに対する消費者の関心は冷めているようで、「Horizon Worlds」は苦戦しており、2023年第2四半期に37億ドル(約5180億円、1ドル140円換算)の損失を出した。

メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)社は、新しい社内VRゲームスタジオ「Ouro Interactive」で、苦戦しているメタバースプラットフォーム「Horizon Worlds」のてこ入れをしようとしている。これにより、巨額の損失を取り戻し、薄れつつある消費者のメタバースに対する関心を復活させることを目指している。

新しいタイトルを作成中

メタ社のメタバース担当副社長であるヴィシャール・シャー(Vishal Shah)氏は技術ニュースレターLowpassのインタビューで、「Ouro Interactive」を通じて新しいファーストパーティタイトル(ゲーム機やプラットフォームのメーカーが製作するするゲーム)を複数制作していると明らかにした。新しいゲームの1つ「スーパーランブル(Super Rumble)」をプレイしたLowpassの記者は、「Ouro Interactive」が新しい技術の進歩を活用して「はるかに見栄えが良く、没入型の体験」を生み出していると語った。

シャー氏は、「ビジュアルの複雑さ、双方向性、楽しいゲームプレイの点で、Horizonで構築できるものの上限を実際に引き上げた」と述べた。

モバイル対応でユーザー拡大を目指す

シャー氏によると、Horizon Worldsをアプリストアに導入することで、世界中で推定数十億人いるモバイルゲーマーをよりターゲットにしたいとも考えているが、それをいつ行う予定なのかは不明だという。またシャー氏は、クロスプラットフォームプレイに対応することで、モバイル版はVRヘッドセットを所有していないユーザーへの橋渡し役として機能し、「Horizon Worlds」をVR専用からVRファーストになる場所に移行させると語った。

AIとメタバースは主な優先事項

Horizon Worldsはこの1年、より複雑なゲームを支援することと、開発者がサードパーティツールを使用して資産をインポートできる機能に関する取り組みに注力してきた。また、専門的な3Dレンダリングツールの知識がなくてもユーザーが自身の世界を簡単に構築できるようにするため、生成人工知能(AI)ツールにも投資している。

シャー氏は、「これは間違いなく、単なる新しい世界以上のものだ」とし、「新世代のHorizon Worldsだ」と語った。

マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOは26日の決算会見でメタ社のAIとメタバースへのコミットメントを確認し、この2つは「主な優先事項」であり、「重なり合い、補完し合っている」と表明。「Horizonに関しては、チームは現在維持に重点を置いており、それについては順調に進んでいる」とした上で、「アバターにも大幅な改善を加えた。これは、モバイルアプリとVRや、複合現実体験の架け橋となるだろう」と述べた。

一方、Quest VRヘッドセットとHorizon Worldsを担当する事業・研究部門であるリアリティ・ラボ(Reality Labs)部門では、2023年第2四半期に37億ドルの営業損失が出ている。メタ社はプレスリリースで、継続的な製品開発により、リアリティ・ラボの営業損失が2023年に前年比で増加すると予想していると述べた。

他の企業がメタバースプロジェクトを縮小する中で、メタ社は関心を強めている。報道によると、ディズニーは3月にメタバースチームを解雇し、仮想世界構築の取り組みを中止した。

|翻訳:CoinDeskJAPAN
|編集:林理南
|画像:Shutterstock
|原文:Meta Aims to Recharge Lagging Horizon Worlds Metaverse With New In-House Game Studio