カーブ創設者の借り入れ担保への懸念から、トレーダーはCRVのショートに殺到

分散型取引所(DEX)カーブ(Curve)のネイティブトークンであるカーブダオトークン(CRV)は、創設者のポジションの大規模清算の可能性が差し迫ったことにより、CRVに連動した永久先物を通じて空売りが積み上がり、失速し続けている。

CoinDeskのデータによると8月1日、CRVは約5セントまで下落し、2022年11月22日以来の最安値を記録した。カーブが7月30日遅くにリエントランシー攻撃を受けて以来、価格は約30%下落している。

CRVは8カ月ぶりの安値となる5セント近くをつけた。(CoinDesk/Highcharts.com)

Veloのデータによると、CRVに結びついた永久先物の想定建玉は、深いマイナスの資金調達率とともに1億600万ドル(約151億円)に倍増している。これは一般的に、トレーダーが空売りをしている、つまり、価格下落に賭けている証拠だ。

資金調達率の大幅なマイナスは、市場における弱気の優位性を示している。(Velo)

この弱気ポジションは、カーブの創設者マイケル・エゴロフ(Michael Egorov)氏のアーベ(AAVE)とFraxでの多額の借り入れポジションが清算される可能性があり、カーブや暗号資産市場全体が不安定化するのではないかという懸念から生じていると思われる。

エゴロフ氏の担保資産

「昨日、いくつかのCurveFinanceプールがハッキングされた。カーブの創設者であるエゴロフ氏は現在、4億2750万ドル(約610億円、CRV流通量全体の約47%)分のCRVを担保に1億ドル(約143億円)の融資を受けている。CRVは過去24時間で10%下落しており、カーブの健全性が危ぶまれている」と調査会社のデルファイ・デジタル(Delphi Digital)は投稿した

デルファイによると、エゴロフ氏は3億500万CRVを担保に、分散型レンディングプラットフォームのアーベ(Aave)から6320万テザー(USDT)を借りている。このポジションは、CRV/USDTペアが0.37ドルまで下落した場合に清算される。

エゴロフ氏はまた、1580万FRAXのローンの担保として5900万CRVをFraxに差し入れている。デルファイによると、この借り入れはUSDTよりも小さいが、Fraxの時間加重変動金利によりCRVに大きなリスクをもたらす。

Fraxの時間加重変動金利は、利用率または担保提供に対する借入資産の比率が、指定された範囲を上回るか下回るかによって、時間の経過とともに金利を上下に調整する。

「現在の利用率が100%の場合、金利は12時間ごとに2倍になる。現在の金利は81.20%だが、わずか3.5日後には最大で年利1万%近く上昇する可能性がある」とデルファイは説明している

「この天文学的な金利は、CRVの価格に関係なく、最終的に彼の清算につながる可能性がある」とデルファイは付け加えた。清算とは、融資の裏付けとなる担保、つまりCRVが、すでに低迷している市場に売却され、より広い分散型金融エコシステムにボラティリティをもたらすことを意味する。

こうした極端な弱気ポジションは、エゴロフ氏の借り入れに対する懸念が後退した場合、ショートスクイーズが引き起こされる可能性があることを意味する。

ショートスクイーズとは、弱気勢がそのベットを放棄した結果起こる急騰のことだ。ショートスクイーズが発生するためには、CRVの資金調達率の大幅なマイナスが示すように、市場が通常よりも弱気の動きを強めている必要がある。このような状況では、ちょっとした価格変動が弱気勢や空売り筋をポジション解消に走らせ、価格をさらに上昇させることになる。

|翻訳:CoinDesk JAPAN
|編集:井上俊彦
|画像:CoinDesk/Highcharts.com
|原文:Traders Pile Into CRV Shorts Amid Concerns Over Curve Founder’s Collateralized Borrowing