ペイパルのステーブルコイン、短期的な普及の可能性は低い:バンク・オブ・アメリカ

ペイパル(Paypal)のステーブルコイン、ペイパルUSD(PYUSD)の登場は、決済の効率化と顧客体験の向上を促すものの、短期的には普及は大きなものにはならないだろうとバンク・オブ・アメリカは10日、調査レポートで述べた。

「長期的には、中央銀行デジタル通貨(CBDC)や利回りの高いステーブルコインとの競争が激化し、PYUSDの普及には逆風が吹くと予想している」とアナリストのアルケシュ・シャー(Alkesh Shah)氏とアンドリュー・モス(Andrew Moss)氏は述べた。

「金利がゼロに近かったときは、テザー(USDT)やUSDコイン(USDC)のような利回りを伴わないステーブルコインを保有しても良かったかもしれない。だが、短期金利が5%を超える今、利回りを伴うステーブルコインがますます魅力的になるだろう」

先週、決済大手ペイパルは、金融大手としては初となる独自のドル連動型ステーブルコイン「ペイパルUSD(PYUSD)」で暗号資産市場に参入すると発表。パイパルUSDは、まずペイパルで、次にベンモ(Venmo)で利用可能となり、いつでも米ドルと交換できる。

「安全で、最大の取引プラットフォームで利用可能」と認識される限り、投資家はどのステーブルコインを保有するかについては関心を持たないだろうとレポートは記している。

ステーブルコインの発行は「伝統的な金融市場のシステミック・リスクを変化させることではない」ため、ペイパルUSDの発行が「規制の明確化を加速させる」ことにはつながらないとバンク・オブ・アメリカは予測している。だが万一、ノンバンクによるステーブルコインの発行が最終的に禁止されれば、規制上のハードルに直面する可能性がある。

さらにペイパルUSDは「ブロックチェーン技術に対応した資産移転、決済、送金」など、これまでほぼ未開拓だった市場をターゲットにする可能性が高いとレポートは述べている。


|翻訳:CoinDesk JAPAN編集部
|編集:増田隆幸
|画像:Shutterstock
|原文:PayPal’s Stablecoin Not Likely to Be Used Widely Anytime Soon: Bank of America