ブロックチェーンに慎重なバンク・オブ・アメリカ、密かにリップル・テクノロジーをテスト

アメリカで2番目の規模を誇るバンク・オブ・アメリカ(Bank of America)は、リップル(Ripple)の分散型台帳技術を密かにテストした──さらに進めることを計画している可能性がある。

リップルは2018年末にIMF(国際通貨基金)が開催したセミナーでのプレゼンテーションで、バンク・オブ・アメリカを「顧客」と認めてさえいた。

この件に関して、リップルの広報担当者は同行が顧客かどうか、肯定も否定もしなかった──だが共同でパイロット・プロジェクトを実施したと述べた。

「バンク・オブ・アメリカは、2016年からリップルのグローバル・ペイメント・ステアリング・グループ(Global Payment Steering Group)に参加しており、我々はそのグループでパイロット・プロジェクトを実施した」と広報担当者はCoinDeskに述べた。

広報担当者は、これまで報じられたことのないパイロット・プロジェクトについて、それ以上の詳細を明かさなかった。バンク・オブ・アメリカはコメントを拒否した。

リップルのプロダクトを用いた金融機関ネットワーク「リップルネット(Ripplemet)に、規定や基準に関するアドバイスを行うとして、バンク・オブ・アメリカがステアリング・グループのメンバーになっていることはこれまでも知られていた。しかし、パイロット・プロジェクトのニュースは、同行のリップルとの関係が友好的なアドバイスを行う以上のものであることのこれまでで最強の兆候だ。

これは同行にとって出発点となるだろう。同行の最高技術責任者のキャシー・ベサント(Cathy Bessant)氏は、自身はブロックチェーン技術に対して及び腰であり、バンク・オブ・アメリカのブロックチェーン特許のポートフォリオは、仮に需要が生まれればすぐにブロックチェーンに方向転換できるようにするためだけに存在すると語った

バンク・オブ・アメリカがこの領域に期待を寄せているもう1つの兆候は、今月はじめに同行が掲載した求人。「リップル・プロジェクト」のチームを率いるプロダクト・マネジャーを募集していた。

広告では、リップル・プロジェクトは「グローバル・トランザクション・サービス(GTS)の顧客を対象にしたクロスボーダー決済のための分散型台帳技術ベースのソリューション」と表現されていた(GTSはバンク・オブ・アメリカの部門の1つで、大企業や金融機関の財務部門を顧客としている)。

名簿のトップ

リップルでアジア太平洋地域における政府および規制関連業務の責任者を務めるサガール・サルバイ(Sagar Sarbhai)氏は2018年12月、IMFがサモアで開催した太平洋諸島におけるフィンテックと金融包摂(financial inclusion)についてのセミナーでプレゼンテーションを行った。

プレゼンテーションの一部は「我々の顧客のスナップショット」というタイトルのスライドとともに、リップルのエックスカレント(xCurrent)・サービスの説明に費やされた。バンク・オブ・アメリカの投資銀行であるバンクオブアメリカ・メリルリンチ(Bank of America Merrill Lynch)のロゴがスライドの一番上にあり、他の15の世界中の金融機関が続いた。名前はアルファベット順ではない。

プレゼンテーションは、その後、IMF.orgで公開され、最近ツイッターで拡散した。IMFは資料は本物で、リップル幹部がプレゼンテーションを行ったことをCoinDeskに認めた。

バンク・オブ・アメリカが、少なくともテストしたと思われるエックスカレントはXRPを含んでいない。XRPはリップルが資金調達のために定期的に販売し、別のエックスラピッド(xRapid)・プロダクトを動かしている仮想通貨だ。

エックスカレントの決済システムの顧客は、アメリカン・エキスプレス(American Express)、サンタンデール(Santander)、PNCなど。

8月、スペインの大手銀行であるサンタンデールは、エックスカレントにより中南米の顧客からアメリカへの初めてのオンライン国際送金が可能になるとCoinDeskに語った

翻訳:石田麻衣子
編集:増田隆幸
写真:Bank of America image via Shutterstock
原文:Blockchain-Shy Bank of America Quietly Pilots Ripple Technology