
2月18〜20日まで香港で開催されたWeb3カンファレンス「Consensus Hong Kong(香港)」。最終日の20日、N.Avenue/CoinDesk JAPANが開催したサイドセッションでは、サンリオ執行役員の濵﨑皓介氏、ソニー銀行DX事業企画部長の金森伽野氏、Startale Group CSOの熊谷祐二氏が登壇し、ステーブルコインなど日本の暗号資産(仮想通貨)市場やゲームやキャラクターなどのデジタルコンテンツが広がる可能性について意見を交わした。モデレーターはN.Avenue/CoinDesk JAPAN 代表取締役 CEOの神本侑季が務めた。
エンタメ×ブロックチェーンの可能性
初めにソニー銀行の金森氏は、日本の暗号資産取引の口座数増加や法整備の進展を背景に、大手企業の参入が進んでいると説明。ソニーグループと連携し、「エンターテインメント分野でブロックチェーンを活用する可能性」を感じていると述べた。
具体的な施策としては、NFTを活用したデジタル資産マーケティングとして、歌手のLiSAなどとのコラボレーションについて紹介。
国内でもWeb3関連の取り組みが本格化していると述べたうえで、同行も「ステーブルコインの発行に向けた実証実験やデジタル証券の活用に向けて取り組んでいる」と説明した。さらに、リアルアセットをデジタル化する一環として、日本の伝統文化を代表する盆栽の所有証明をNFTで行う試みを紹介した。
続いてStartale Groupの熊谷氏は、ソニーグループと連携して開発したイーサリアムレイヤー2「Soneium(ソニューム)」について解説。立ち上げ後の1カ月強を振り返り、100以上のインフラ、アプリケーションなどが立ち上がり、1日100万以上のトランザクションが起きていると述べた。
投げ銭文化を国際展開
サンリオの濵﨑氏はWeb3について、「5年後、10年後のエンタメ業界においてキーテクノロジーになる」と指摘。同社の取り組みとしてXRやバーチャル空間でのエンタメ事業を紹介し、バーチャルピューロランドの運営とVRパレードを展開していることを紹介した。
こうした取り組みの意義については、個人クリエイターがグローバル市場で活躍できる環境を整備することだと説明。そのためには、「ステーブルコインのような既存手段とは違う決済方法」が重要になるとし、日本独自の投げ銭文化をステーブルコインを通して国際展開できる可能性にも言及した。

エンタメ消費の文化がWeb3普及の土壌に
エンタメ界でWeb3を活用する伸びしろに関して熊谷氏は、ソーシャルゲームへの課金をはじめとするモバイルアプリでの支出が日本は世界トップクラスであるとの調査を紹介。課金やVTuberへの投げ銭など、既に浸透している事例を踏まえ、ユーザーが無意識にNFTなどの技術を使うことがマスアダプションの理想的な形だと述べた。さらに、日本では良質なコンテンツが豊富で、エンタメ消費の文化が根付いていることからWeb3の普及に適した土壌が整っていると説明した。
金森氏は、ユーザーにWeb3技術を意識させず普及させるにはUX(ユーザーエクスペリエンス)の改善が不可欠であるとしたうえで、「規制とUXの最適化を両立することはチャレンジしていくべきテーマ」と指摘。ユースケースの創出と同時に、規制整備も進めていく重要性を語った。
濵﨑氏は、サンリオが手掛けるハローキティなどのキャラクターについて、単なるキャラクタービジネスにとどまらず、企業との連携を通じて新たな価値を生み出せると指摘。特に、NFTやデジタルプラットフォームと組み合わせることで、親しみのあるキャラクターが人々の生活に自然に溶け込み、デジタルコンテンツの普及にもつながる可能性があると述べた。
|文・写真:CoinDesk JAPAN