長期保有、「くじら」増加、DeFiブーム──一時停止の1年をデータで振り返る【CoinDesk Quarterly Review】

仮想通貨の誕生から10年以上が経った。その存在を正当化する明確なストーリーもいくつか登場したが、データによって決定的に裏付けられたものは存在しない。

例えば、グラフは、ビットコインの価値の保存手段としてのユースケースが一部の新しい投資家の間で根付いており、彼らは価格の高騰時にもビットコインを保有し続けることを示している。しかし、ビットコインとゴールドの相関関係といった他の指標は、ビットコイン投資家全体で見れば、そのほとんどがビットコインを「デジタルゴールド」とはほど遠いアセットとして使っていることを示している。

イーサリアムでは、DeFi(分散型金融)が目覚ましい成長を遂げているが、その成長を示すグラフの形と、ユーザー数のかなりの減少は「ウェブ3.0」のストーリーがまだ初期段階にあることを示している。

45ページに及ぶ「CoinDesk四半期レビュー(CoinDesk Quarterly Review)」は、仮想通貨市場を形成する主要データ、トレンド、イベントを紹介している。25以上の異なるデータセットを通して、3つの異なるユースケースを分析している。分析結果は、ビットコインと他の仮想通貨にはまだ支配的なストーリーは現れていないことを示唆している。

このレポートの読者は、投資家の関心と仮想通貨の国際的な利用の移り変わりを表す主要な指標を知ることができる。例えば、ビットコインの「くじら(大口保有者)」の人数、UTXO(未使用のトランザクションアウトレット)の年数別分布、取引高などだ。

データをもとにした重要なポイントをいくつか見てみよう。

1. 全員が利益を得るために売りに出たわけではない。

最後の取引からの経過時間によるビットコイン供給量シェアの推移

2017年下半期に最後にビットコインを取引した保有者は、価格が上昇し、売却すれば利益が出たにもかかわらず、2019年末まで保有し続けた。これはビットコインを投機的資産ではなく、価値の保存手段と考える投資家心理が存在することを示している。2018年後半に最後に取引されたビットコインが増加したのは、2018年12月に仮想通貨取引所コインベース(Coinbase)がコールドウォレットインフラをアップデートしたことによるものだ。

コインベースは世界で最も人気のある仮想通貨取引所の1つだが、2018年以降失速している。ノミックス(Nomics)のデータによると、ビットコインの法定通貨による取引高は、2018年の過去最高額4654万ドル(約51億円)から2019年には4492万ドル(約49億円)へと減少した。この市場は主にビットコインを伝統的な通貨の代わりの価値の保存手段として捉える投資家に利用されており、長期保有心理のバロメーターと考えることができる。

2. ビットコインの「くじら」は増加傾向。

1000BTC以上を保有するアドレス数とビットコイン価格の推移

2019年末までに850万ドル(約9億3000万円)以上のビットコインを保有するビットコインアドレスは2100存在した。「くじら」と呼ばれるこうしたアドレスの増加は、ビットコインへの大口投資家の参入を大まかに示すものだ。2018年以降、ビットコインの「くじら」の人数はビットコインが現在の価格の85分の1に相当する100ドル以下で取引されていた2000年代初頭以降見られなかったペースで増加している。

アメリカにおける規制を受けた仮想通貨取引所でのオフチェーン取引(ブロックチェーンを使わない取引)は、ビットコインへの大口投資家の参入の増加傾向を示していない。仮想通貨データを提供するスキュー(Skew)はシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)とバックト(Bakkt)のビットコイン先物市場の取引高は2019年、減少したと伝えた。これらの市場は、コインベースやバイナンス(Binance)といった人気の仮想通貨取引所とは異なり、機関投資家にビットコイン投資のための規制を受けた商品を提供している。機関投資家のビットコインへの参入は、さまざまな取引所でビットコインの流動性の不均衡が続いているために遅れている可能性がある。

3. DeFiがブームに。

DiFi融資プラットフォームの担保となっているイーサリアムの割当

2019年に大成功したものの1つは分散型金融(DeFi)アプリケーション。仮想通貨データ提供企業のディファイ・パルス(DeFi Pulse)によると、分散型アプリケーション(dapp)は第4四半期末までに合計6億8000万ドル(約740億円)以上の仮想通貨を扱っていた。DeFiの中で最も人気のカテゴリーである仮想通貨レンディング(融資)を見ると、イーサリアムの価格が下落し始めた時でもユーザーからの注目は増え続けていた。

ゲームやギャンブルといった他のdappカテゴリーでは2019年、アプリケーション数とユーザー数は減少した。ダップレーダー(DappRadar)によると、2019年第1四半期よりも第4四半期の方がアプリケーション数もユーザー数も少なかった。

「全体的にdappの品質は向上している。それは長期的にはローンチされるdappの数が減り、多数のユーザーを抱えるdappの数が減ることを意味する」とダップレーダーのコミュニケーション・ディレクター、ジョン・ジョーダン(Jon Jordan)氏は述べた。イーサリアムでのDeFiブームの陰で、他のdappプラットフォームとユースケースは成長に苦戦しているようだ。

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翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
原文:CoinDesk Q4 2019 Review: A Year in Suspended Animation