ビットコインが年初に急騰した理由【市場分析2021】Vol.1

2021年もあと2週間、今年の暗号資産(仮想通貨)市場を動かした出来事を数回に分けて振り返り、グローバル金融の中で急速に進化している暗号資産市場から得られる重要な教訓に焦点を当てていく(最新価格は下部に掲載)。

1回目の今日は、年初にビットコイン価格が高騰した際、2020年第4四半期に買いが殺到したことを受けて、一部の機関投資家はすでに慎重な姿勢を見せていたことを振り返る。


2021年、ビットコイン(BTC)は好調なスタートを切り、1月第1週に40%近く上昇、4万ドル付近で史上最高値を更新した。

だが誰もがこの上昇を持続できると確信していたわけではない。個人投資家が続々と参入する一方で、一部の機関投資家は投機の盛り上がりに懸念を示し始めていた。

前年12月の時点で、暗号資産運用会社アルカの最高投資責任者ジェフ・ドーマン氏は、CoinDeskに「ビットコインに重点的に投資しているアクティブ運用のヘッジファンドやパッシブインデックスは、きわめて短命に終わる可能性が高い」と述べていた。

実際、複数のファンドはビットコインに積極的に投資したが、長期保有、いわゆる「HODL」することはなかった。

ビットコインは1月の最初の5日間で3万ドルから4万ドルへと急上昇し、市場の興奮はさらに高まった。英投資運用会社ラファー・インベストメンツはわずか5カ月で11億ドル(約1200億円)の利益をあげた。だが6月に同社は、暗号資産市場には「投機的熱狂」が見られ、投資を終了せざるを得ないと述べた。

市場の過熱

市場の過熱を懸念していたのはラファーだけではない。価格変動が激しいため、他の機関投資家もビットコインの上昇の長期化を疑っていた。

事実、1月末までにビットコインは1月の高値の4万ドル付近から約30%下落した。下落直後、米投資会社グッゲンハイム・パートナーズの最高投資責任者スコット・マイナード氏は、ビットコインが3万ドル水準を維持するには、現在の機関投資家の需要は十分でないと発言した。

「実際、3万5000ドルを維持するだけの機関投資家の需要は、市場にはない。3万ドル水準でさえも難しい」(マイナード氏)

同じ頃、JPモルガン・チェースのアナリストは、ビットコインが4万ドルの水準を取り戻さなければ、直近の弱気(bearish)センチメントがさらに強まる可能性があると述べた。

2020年第4四半期にビットコインが大幅に上昇した要因は、機関投資家からの需要と言われている。この記事、ヘッジファンドの大物、ポール・チューダー・ジョーンズ氏やスタンレー・ドラッケンミラー氏、米ソフトウェア企業マイクロストラテジーがビットコイン投資を表明している。

2021年のその後の期間については、明日以降、電気自動車大手テスラを率いるビリオネアのイーロン・マスク氏のツイートが市場を動かしたこと、ほとんど聞いたことのないアルトコインの急速な上昇、暗号資産の正当性と可能性を評価した企業の新たな参入、数度の大幅な価格変動、そして最終的に約6万9000ドルの史上最高値を更新した動きなどを見ていこう。

最新価格

協定世界時(UTC)20日21時(日本時間21日6時)時点

●ビットコイン:47,080ドル、+0.5%
●イーサリアム:3,936ドル、+0.3%

●S&P500:−1.1%
●ゴールド:1,790ドル、−0.8%
●米国10年債:1.424%

|翻訳:coindesk JAPAN
|編集:増田隆幸
|画像:ポール・チューダー・ジョーンズ氏(スクリーンショット)
|原文:Market Wrap Year-End Review: Bitcoin Starts Off in a Frenzy
※編集部より:タイトルを修正して、更新しました。