ビットコイン、売り攻勢で急落。先物も追随──株価、原油、米国債、コロナショックで全面安

新型コロナウイルスの感染拡大を懸念する見方が強まる中、株式や米国債利回り、原油価格などの下落が加速している。その下げ圧力は、ビットコインなどの仮想通貨市場にも波及した。

日経平均株価は3月9日、1000円以上下落し1年2カ月ぶりに2万円を割り込んだ。ビットコインは前日から12万円以上下落し、一時80万円を割った。80万円を下回るのは2カ月ぶり。ビットコイン以外の仮想通貨も軒並み10%以上落ち込んだ。

NYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)のWTI原油は、一時27ドル台まで下落。20ドル台は2016年2月以来の水準だ。ロシアとの追加減産における協議が決裂し、サウジアラビアが増産を進め、供給過剰に陥るとの見方が強まった。

ビットコインから法定通貨にシフト

「ビットコインを売って、円などの法定通貨に戻す動きは明らかに見られる。ビットコインを含めて、すべてのアセットクラスにおいて、下げ相場がいよいよ始まった」と、国内仮想通貨・市場関係者は話す。

多くの市場でリスクオフ(リスク回避)の動きが強まっている。米10年債利回りは0.5%を割り込み、30年債も一時1%を下回った。東京外国為替市場のドル円相場も大幅な円高となり、一時2016年11月以来の101円台まで進んだ。

CME(シカゴ・カーマンタイル取引所)のビットコイン先物価格は9日16時30分現在(日本時間)、3、4月限で7900ドル台で取引されている。前日比1200ドルを超える下落だ。

仮想通貨取引所の売却を早める可能性

ビットコインは今年5月に「半減期」を迎えるが、先物5、6月限は前日比1200〜1300ドル安の8100ドル台。半減期とは、ビットコインのマイニングで得られる報酬が、約4年ごとに半分になる仕組みのこと。

「ビットコイン先物(CME)市場では、期近から期先までの価格は下落している。しかし、取引ボリュームが極めて低いことから、ビットコイン価格の先行きを示すほどのコンセンサスが、先物に現れているとは言いにくいだろう」と同関係者。

「国内では、複数の事業者が依然として、取引所の売却先を模索している。ビットコイン市場のファンダメンタルと、(仮想通貨取引所の)事業環境が共に悪化すれば、事業売却が早まる可能性が高まるだろう」(市場関係者)

文:小西雄志、佐藤茂
編集:佐藤茂
写真:Shutterstock.com